2014年(平26)9月9日 一般質問 質疑応答全文(福岡市議会議員 栃木義博)

 

市民生活に重大な結果をもたらす福岡市雇用特区

 

①根拠の希薄な目標設定。開業率と雇用創出

 

〈栃木〉
 昨日、高島市長は11月市長選挙への再選出馬の意思を正式に表明されました。市長就任後4年間を振り返り市長の資質については昨日、太田英二議員が縷々指摘した通りです。私はこの際、高島市長の自治体の長としての適格性について議論を深めたいと思います。「国家戦略特区の推進に集中すると強調し『選挙はどうでもいいんです』との発言も」(6/4西日本新聞)と報道されるほど、市長が力を入れておられるのが福岡市雇用特区であります。自治体の長としての適格性を端的に見ることができるのが、福岡市雇用特区をめぐる市長の言動です。そもそも雇用特区では、開業率を高め雇用を創出するために、解雇規制の緩和、法人税の減免、外国人の在留資格要件緩和を進めるというものです。しかし、雇用特区では根拠の希薄な目標設定、社会格差をひろげ不公平でリスクを拭えない政策手段など、その杜撰さが露わになっています。ましてや、市民の生活を最も身近なところで支えるべき自治体の長としてとるべきではない言動が見られるのも、この雇用特区の特徴です。このような視点から以下、質問します。なお、6月議会での田中丈太郎議員の質問に対して曖昧で不明確な答弁が多々ありましたので明確な答弁を強くお願いいたします。
 日本経済新聞5月20日朝刊一面の記事に「厚生労働相の田村憲久(氏)は、『場所を限って規制を緩めるのは、憲法で定める法の下の平等に反する』と特区の思想そのものに反論。…(中略)…高島(市長)は提案を引っ込めた。」と掲載されていましたが、市長は国に要請していた事前解決型解雇規制緩和の雇用特区への導入を諦めたのか、諦めていないのか、一体どちらなのかをまず伺いたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 福岡市は開業率が政令市でトップで,また,若い企業が雇用を多く創出しているとの調査結果もあるため,雇用を生む新たな企業を生み出す,スタートアップを支援しているところ。
 創業間もない企業は,正社員の雇用ニーズは高いものの,経営は厳しく,不安定で,解雇に関する要件が不明確であることから,正社員を雇用することについて躊躇感があるとの認識。
 創業間もない企業における正社員の雇用を促進していく観点から,労働基準監督署の監視体制を強化することと併せて,正社員として雇用した上で,創業後5年に限って,解雇に関する規制を緩和することを提案したものである。
 その後,国において,全国から寄せられた様々なアイデアの提案を踏まえて,規制改革事項等の整理・検討が進められ,雇用メニューの一つとして「雇用条件の明確化」がまとめられ,さらに,国から提示された区域方針では,雇用労働相談センターを設置し,雇用指針に基づいて企業等に助言などを行うという「雇用条件の明確化」が取り組むよう示されたもの。
 したがって,福岡市としては,その着実な実施に向けて,国等とともに,しっかりと取り組んでまいりたい。

 

〈栃木〉
 つぎに、記事には続きがあって「結論は『雇用問題の相談センター設立』にとどまり、特区内で雇用規制の緩和はほとんど実現していない。『この辺が政治的な落としどころだ』と高島(市長)は淡々と話す。」と書かれていました。「この辺が政治的な落としどころだ」という意味を聞かせて下さい。

 

〈市長〉
 ご指摘の報道については,国において特区に関するメニューの整理を行うに際し,政府内でさまざまな検討を経て,雇用条件の明確化に取り組むこととなったとの認識を申したもの。

 

〈栃木〉
 質問を変えます。6月28日の区域会議後の記者会見では、「雇用労働相談センターのワンストップサービスだけでは雇用改革は不十分との指摘もある。さらに踏み込んでいく考えはないか」との記者からの質問に当時、新藤担当大臣が「次なるものが出てくれば、これは当然議論の対象になる」と答えています。この答弁を踏まえると、東京圏、関西圏特区では「有期雇用の特例」「労働時間規制の緩和」が区域会議の検討課題にあげられているが、今後本市の区域会議で労働規制の緩和が検討課題に上げられた場合は、市長は推進する立場をとるのか伺いたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 現時点での雇用分野のメニューとしては,「雇用条件の明確化」のみだが,今後,区域会議において,何らかの新たな規制改革事項等の提案があった場合には,改めて検討を行うことになると考える。

 

〈栃木〉
 来月にもオープンする予定の雇用労働相談センターで行う助言のための「雇用指針」には、「雇用条件として極めて重要な、労働者の心身の健康に対する使用者の安全配慮義務や、労働時間等の規制、労働組合に関する規定についての説明が完全に欠落している」、また「判例や裁判例の引用に際し、使用者勝訴の判例に偏って引用する場合が見られる」などと、新規に創業しようとする事業者に誤解を生じさせ、誤った予断を与えるもので極めて不適切だとして、7月16日に九州労働弁護団から市長は申し入れを受けています。
 「雇用指針」の内容について、労働者保護の最低基準を規定した労働法制の趣旨に照らした内容となるよう、本市は国家戦略特別区域会議等で国に対して是正を要請すべきだと考えますが、九州労働弁護団の申し入れ内容に対する本市の考え方と今後の対応をお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 雇用指針は,国家戦略特別区域法第37条第2項の規定に基づき,個別労働関係紛争を未然に防止するため,労働契約に係る判例を分析し,及び分類することにより作成する雇用管理及び労働契約の在り方に関する指針であって,国家戦略特別区域諮問会議の意見を聴いて国が作成したもの。
 今回の申入れについては,国に申し伝えており,今後とも雇用指針に関する市民のご意見については,適宜,事業実施主体である国に伝えていく。

 

〈栃木〉
 本市は国に対して「労働基準監督署の監視体制の強化と併せて、…解雇規制の緩和を行うことを提案した」と6月議会で答弁されました。市内管轄の労働基準監督署の職員数は20年間80人前後と変わらないが、解雇や労働条件など労働相談件数が平成25年度は約16,000件でここ数年増加傾向にある現状を踏まえれば、監視体制の強化を提案するにあたり、それはどうあるべきだと考えられたのかお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 昨年9月に提案した制度については,創業後5年間に期間を限定するとともに,新たな制度が創設された場合に,不適切な運用がなされることのないよう,必要な範囲で,労働基準監督署の監視体制の強化を講じることを想定していたもの。

 

〈栃木〉
 本市は、監督署の監視体制の現状を把握していたのか、私には国ヒアリングの議事録を読む限り疑問ですよ。ちなみに、福岡県が所管する労働者支援事務所が応じた平成25年度の労働相談件数は、16年間で5倍増の約5,200件に達します。また、連合福岡が応じた相談件数はここ10年間で毎年600件を下回ることはなかったと言います。このように労働問題が顕在化しているなかで、創業のための雇用改革拠点として特区を進めるには、市民の労働環境とセーフティネットの現状を十分に把握することが基礎自治体としての大前提であるはずです。
 執行部から資料が出てきませんでしたから調べました。総務省の就業構造基本調査によると本市では、平成9年から24年までの15年間で、正規雇用労働者で約2万3千人減少しているいっぽうで、非正規雇用労働者は約12万人も増加しています。にもかかわらず福岡市国民健康保険も国民年金も資料の比較できる平成8年から21年までの13年間でそれぞれの被保険者は国保1万人、国民年金3万3千人の増加で、統計上は都市圏内事業所も含みますが政府管掌健康保険は1万5千人増、厚生年金は4万人の増加でしかありません。さらに被保険者の減少が続く組合健保を考慮すると、無保険状態に置かれた非正規労働者が多数上ることが容易に想像でき、いかにセーフティネットが手薄であるかがわかります。
 解雇規制緩和など国民市民の働き方と生活を大幅に変える先鞭を付けたかもしれない重大な提案をした福岡市長ならば、当然セーフティネットの現状を踏まえ、今後本市としてどのような施策展開をしなければならないか、また国、県に対して何を求めるのかお聞かせいただきたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 労働に関するセーフティネットについては,(社会全体として取り組むべきものと認識しており,)福岡市としても,労働法令や制度の周知,啓発や,失業者の方々の就労支援に努めるとともに,福岡市が労働に関する相談を受けた際は,指導監督権限を持つ国や,労働紛争の調停などを担う県へつなぐなど,連携した取組みを進めているところである。
 今後とも,国,県と連携しつつ,必要に応じセーフティネットに係る施策について検討していく。

 

〈栃木〉
 「区域会議の構成員について、必要と認めるときは…国の関係行政機関の長や区域計画又はその実施に関し密接な関係を有する者を加えることができる」(6月議会答弁)ならば、職業訓練機関、労働者支援事務所など県内の労働行政を所管する福岡県知事に毎回、区域会議メンバーとして出席してもらうべきではありませんか。本市は国に福岡県の出席を働きかけるべきだと思いますが考えをお聞きします。

 

〈経済観光文化局長〉
 雇用労働相談センターは,国が開設するものであり,福岡県の区域会議への出席については,国において判断がなされるものと考えている。

 

〈栃木〉
 どこか他人事にしか聞こえませんね。これまでの答弁を聞くと、本市が労働行政に手を付けるのは明らかに荷が重すぎるのではないかと思います。この分野、手を引かれた方がいいのではないですか。昨年の国ヒアリングで提案説明した目標数値が今年6月の区域会議では大幅に修正されています。
 そこで、当初方針である10年後の新規雇用創出数50万人、開業率20パーセントと今回方針の平成30年度で年間新規雇用者数20万人、開業率13パーセントの関連性を伺います。

 

〈経済観光文化局長〉
 昨年9月の提案における成果目標については,経済センサス調査を基に10年後の開業率と新規雇用創出数累計を目標としたもの。
 今年6月の区域計画素案における数値目標については、毎年の状況を把握できるよう雇用保険事業統計を基に平成30年度の開業率と年間新規雇用者数を目標としたもの。
 なお,いずれも国の成長戦略における開業率の成果指標を踏まえたもの。

 

〈栃木〉
 開業率の現在の6.4%から平成30年度の13%に、同じく10年後の20%に、また新規雇用創出数の現在の14万8千人から平成30年度の20万人に、同じく10年後の50万人にする目標数達成の前提条件には、昨年9月のヒアリング時に提案した事前解決型解雇規制の緩和を実施することが含まれるのか、含まれないのか、どちらなのかをお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 昨年9月の当初提案の目標達成のための様々な取り組みの一つとして提案したものだが,6月の区域計画素案の目標達成のための取り組みには含まれていない。

 

〈栃木〉
 前提条件に解雇規制の緩和が含まれないならば、少なくともヒアリングで提示した10年後の開業率20%、新規雇用創出数50万人の目標数を下方修正する必要はないのかお聞かせください。

 

〈経済観光文化局長〉
 特区の目標は国の成長戦略の目標を踏まえて設定し,それを実現するための政策パッケージを検討しているもので,取り組みの内容の一つが変わったことで修正する性格ではないため,昨年9月の提案の成果目標を下方修正する必要はないものと考える。

 

〈栃木〉
 そもそも開業率や雇用創出数など特区の目標が、国に提案した取り組み全体の効果の総和だから、一つひとつの政策手段による効果は出せないという。これでは目標数値は言いっぱなしの何の客観性も持たないことになるではありませんか。このような手法で税金を投入する市政運営に納税者、市民が納得するとお考えか、見解をお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 本市の特区における取組みについては,開業率や新規雇用者数の目標を掲げ,特区を活用した規制緩和や税制,国や市の施策などの政策パッケージで総合的に実施することにより,創業の促進と雇用の創出を図るものでありご理解いただけると考える。

 

②社会格差をひろげ不公平でリスクを拭えない政策手段。解雇規制の緩和、法人税の減税、外国人の在留資格の緩和

 

〈栃木〉
 平成30年度の新規雇者数20万人、さらに10年後の新規雇用創出数50万人の目標を達成するとすれば、当然将来人口予測、雇用者数に影響が出ると思うが、雇用特区で人口はどれだけ膨らむのか見解をお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 人口推計は行っていない。

 

〈栃木〉
 6月の区域会議で新たに示した平成30年度に新規雇用者数20万人を達成するとなれば、平成24年度の年間新規雇用者数は14万8千人ですから、新規雇用者を年間5万2千人増やすことになります。すると過去の傾向値に照らすと平成30年度の人口は、平成24年度策定の総合計画の予測値を約11万8千人も上回り、167万人に膨れ上がる計算です。
 しかし、先ほどの答弁では将来人口予測への影響は計算していないという。それは、雇用特区で増加するとされる新規雇用者数は人口の増加に結び付かない、見かけ上の数字で、実態は雇用が流動化し、何度も転職を繰り返す不安定な雇用者群を創り出そうとしているからではないですか、見解をお聞きしたい。 
 また、雇用特区による新規雇用者数、創出数は総じて看板に偽り有りじゃありませんか、所見を伺います。

 

〈経済観光文化局長〉
 特区における新規雇用者数については,創業や第二創業を促進することで新しい雇用を生み出すことに着目した目標である。
 雇用労働相談センターにおいて安心して正社員を雇用でき,雇われる側も安心して働くことができる環境を整えるなど、不安定な雇用を作り出そうとするものではない。
 新規雇用創出数についても同様であり,指摘は当たらないと考える。

 

〈栃木〉
 根拠が曖昧だから、「看板に偽り有り」と言うんですよ。これからさらに希薄な根拠について質していきたいと思います。
 開業率と廃業率について、わが国と本市の現状と推移を聞きたい。世界的に見て開業率が低いと言われているが、開業率と廃業率の国際比較を知りたい。あわせて失業率の比較もお聞きしたい。さらに本市直近の廃業率での雇用消失数とその離職者、転職者の数、率ならびに廃業事業所の業種傾向を伺います。

 

〈経済観光文化局長〉
 雇用保険事業統計によるわが国の開廃業率はそれぞれ,平成22年度が4.5%と4.1%,平成23年度が4.5%と3.9%,平成24年度が4.6%と3.8%となっている。
 本市の雇用保険事業統計による開業率と廃業率はそれぞれ,平成22年 度が6.2%と4.7%,平成23年度が6.5%と4.4%,平成24年度が6.2%と4.0%となっている。
 また,米国・英国の開業率及び廃業率は,直近の数値で,米国の開業率9.3%,廃業率10.3%,英国の開業率11.4%,廃業率10.7%となっている。
 失業率の国際比較は,平成24年の比較で,日本4.6%,米国8.2%,英国8.1%となっている。
 本市の廃業に伴う雇用消失数は,先ほど述べた廃業率とは別の統計であるが,平成24年経済センサス活動調査による廃業事業所の従業員数は,年間約48,000人となっている。
 廃業事業所の業種については,同調査によると,廃業事業所数が大きい順に「卸売業,小売業」,「宿泊業,飲食サービス業」,「生活関連サービス業,娯楽業」となっている。
 離職者数,転職者数,率については,統計がないため把握していない。

 

【参考】

福岡市

平成22年度

平成23年度

平成24年度

開業率

6.2%

6.5%

6.2%

廃業率

4.7%

4.4%

4.0%

  ※24年度の開廃業率の計算方法
   開業率:(24年度福岡都市圏の新規適用事業所数)÷(23年度末福岡都市圏の全事業所数)
       = 2,417 ÷ 38,805 ×100 = 6.2% → 福岡市開業率と推計する
   廃業率:(24年度福岡都市圏の廃止事業所数)÷(23年度末福岡都市圏の全事業所数)
       = 1,548 ÷ 38,805 ×100 = 4.0% → 福岡市の廃業率と推計する

 

〈栃木〉
 本市の開業率は廃業率より2ポイント高く推移しているが、廃業による雇用消失数は年間4万8千人だと今回答いただきました。いっぽう開業による新規雇用者数が年間2万5千人だと6月議会で聞いていましたが、開業対策の前に廃業対策をすべきで、これでは本末転倒ですよ。ましてや廃業による離職者、転職者の動きが分からないのでは、目標と手段の立てようがないではありませんか、所見をお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 開業率の向上につきましては,新たな市場を開拓するなど地域経済の活性化や雇用の創出に資するものであり,統計がなく状況の把握が困難なものもあるが,把握可能な数値を目標としてしっかりと取り組む。

 

〈栃木〉
 「統計がなく状況の把握が困難」などと、あいまいな根拠で開業率の数値目標を立てたんじゃないですか。それとも開業率と廃業率、これに失業率を加えたこの3つは比例連動することを本市は認識されているのではないですか。  
 本市は開業率を平成30年度に約2倍の13%に引き上げるとしているが、今後廃業率を下げる手立てを打つのか、打たないのか、どうすべきかをお聞きしたい。また廃業率を高めることなく、開業率を高めることが本当にできるのか見解を聞かせて下さい。

 

〈経済観光文化局長〉
 開業率と廃業率の関係については,その相関関係が指摘されているところである。
 廃業の中には,意に反しての倒産,高齢化に伴う自主廃業,廃業して新しい取組みを始める場合など様々であり、その内容に応じた対応が必要である。創業支援にはしっかり取り組み、現在策定を進めている中小企業・小希望事業者推進プランにおいても,円滑な事業承継等にとりくんでいくこととしているところである。

 

〈栃木〉
 高島市長は、昨年の国へのヒアリングの際、創業スタート時の5年間は法人市民税をゼロにすると説明提案しましたが、この法人市民税ゼロ方針は堅持するのか。また、区域会議で検討課題にあげられている法人実効税率17%以下への減税方針とどのように関連するのか、お聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 昨年9月の提案は,創業又は海外からの日本進出後,市の行う税制措置に連動した形で,法人実効税率を5年間は15%とするなどとしていたものであるが,提案の説明に際し,法人実効税率の引下げのため必要があれば,法人市民税を「ゼロ」にすることも検討する考えがある旨を説明したことはある。
 現在,区域会議での福岡市の提案等を受け,平成27年度内閣府税制改正要望において,「創業5年以内の一定の企業に対する法人税の軽減措置の創設」が財務省等に対し要望されたところである。
 この法人実効税率の引下げに係る詳細については,国等と協議,検討を行っているところ。

 

〈栃木〉
 開業5年間の全企業ならびに中小企業の納税額、納税率など納税現況をお聞きしたい。あわせて、開業6年以降の全企業・中小企業の納税額、納税率をお知らせください。

 

〈経済観光文化局長〉
 法人実効税率の引下げについては,現在,平成27年度内閣府税制改正要望を踏まえ,国等と協議,検討を行っているところ。
 この制度創設については,さまざまな想定が考えられることから現在,試算を行っており,現時点でお答えできるものはない。

 

〈栃木〉
 制度創設時のことを聞いているのではありません。現在の納税状況を聞いてるんです。再答弁を求めます。

 

〈財政局長〉
 法人市民税の課税においては、事業年度が終了した場合に確定申告書を提出する必要があるが、その際には、企業は創業開始時期等の記載まで求められていないこと、また、税法上、創業法人の要件が定められていないことなどから、開業5年間の統計的な数字を把握していない。

 

〈栃木〉
 納税状況を把握せずして、開業後5年間の企業のみを法人実効税率17%以下に減税するという方針を立てること自体が極めて乱暴で無責任だと考えるが、所見を聞かせていただきたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 法人実効税率の引下げについては,創業の増加とその成長を促進し,雇用の創出を図るとともに,対日投資の拡大を図るため,創業期の5年間について,法人実効税率を,アジアの主要都市と比べて,競争力のある水準にまでの引下げを福岡市として提案したものである。
 現在,福岡市の提案等を受け,平成27年度内閣府税制改正要望において,「創業5年以内の一定の企業に対する法人税の軽減措置の創設」が財務省等に対し要望されたところであり,詳細については,現在,国等と協議,検討を行っているところ。

 

〈栃木〉
 納税状況も分からず試算もできないのに、根拠のない税率を打ち上げて国に要請するということ自体が、乱暴で無責任だと申し上げたんですよ。
 6月の区域会議後、記者に問われて「何年間でどれだけの企業がふえて、雇用がふえて、そこでの産業活動によって税(収)がどのように変わっていくか、そういったものの精度を高めることが実現の判断になる」と、減税に慎重とも取れる当時の新藤大臣の発言を待つまでもなく、わが国の法人税の納税率の低さをみると、開業間もない企業の納税率がとりわけ高いとは想像できません。
 法人実効税率の引き下げが開業率を高める効果は本当にあるのか疑問です。考えをお聞きしたい。また、減税にはならなくとも歯を食いしばって福岡市内で頑張り抜いている対象外の企業の皆さんとの不公平は甚だしいのではないかと思うが、見解をお聞かせください。

 

〈経済観光文化局長〉
 国の調査によると,創業初期における課題の上位に資金調達が挙げられて おり,法人実効税率の引下げは,起業後の成長促進に寄与するものと考えられ,また,こうした税制による支援をアピールすることで創業マインドの好転が期待され,開業率向上に一定の効果が見込めるものと考えている。
 創業初期の企業を含む中小企業・小規模事業者全体を支援していくこと は,今後の福岡市の経済活性化に不可欠であり,引き続き力を入れて取り組んでいく必要がある。このため,創業初期の企業の成長を促し,福岡市に根付くよう,経営が不安定である創業初期の企業の支援を行うものである。

 

〈栃木〉
 質問に答えていないじゃないですか。納税状況も把握してないでよく言えますね。公平、不公平の判断も避けられるのでは話になりません。
 国内では研修制度を悪用した在留外国人に違法労働を強要し過酷な環境に置く事案が多発しています。また平成24年度の不法就労も全国で約9千件、福岡県でも49件が報告されており、後を絶たない状況です。
 外国人の在留資格の緩和については国に提案し、区域会議での検討課題にあがっていますが、そもそも外国人とは、どのような人々でどの程度の人数を想定しているのか、またどのような働かせ方を考えているのか聞かせて下さい。

 

〈総務企画局長〉
 在留資格の緩和の対象となる外国人につきましては,福岡市で新たな会社の立ち上げを希望する外国人起業家や,地場企業で国際展開や新たなビジネスを創出する能力を持った優秀な留学生を想定しておりますが,対象となるためには高い能力や一定以上の資金を保有していることが条件となります。
 働き方につきましては,外国人起業家の場合は,経営者として自身が立ち上げた会社の運営に従事することになります。
 留学生の場合は市内企業に就職することになりますが,その場合,在留資格で認められている業務に従事すること,日本人と同等以上の給与が支給されることなどが求められます。

 

〈栃木〉
 市長は当初、昨年のヒアリングで「いわゆる専修学校で、例えば美容とか、食の分野とか、ケーキをつくるとか、ネイルとか…アジアからの関心が高い」ので「こういった分野については、是非、在留資格の取得がしやすくなるような形で、要件についての緩和をしていただければ」と提案。「クリエイティブ分野とか、ヘルスケア、食関連分野について、力を入れて」いくとして、クリエイティブ関連産業3万人、ヘルスケア産業7万人、食関連産業15万人と、10年後の新規雇用創出数を弾いていますが、在留資格の緩和と関連して、この数字の根拠を説明してください。

 

〈経済観光文化局長〉
 昨年9月の提案において,重点的に取り組む分野として,各分野の新規雇用創出数を目標として掲げていた。
 その算出根拠については,平成21年経済センサス基礎調査による当該産業の従業員数をもとに毎年の新規雇用創出数を算出し,10年分累計したもの。
 なお,これは在留資格の緩和を含む当該提案に掲げる取組み全体の実施による目標である。

 

〈栃木〉
提案の際、政府側委員から「それ(在留資格取得の要件緩和)をケーキ職人にも認めてくれとおっしゃっているのですね」と質問されて、市長は「はい」と明言されたんですよ。市長は最初の提案を取り消すつもりはあるのですか、お聞きします。取り消さないならば、最初の提案は何だったのか、提案は今後も生き続けるのかどうなのか、明確な答弁を求めます。

 

〈総務企画局長〉
 従来の総合特区制度などでは,まず特区の申請手続があり,申請が認められればその内容に従って取組みを具体化していくことになるが,国家戦略特区の提案募集は,特区申請よりもさらに手前の段階の“アイディア提案”といった性格のものであり,特区で進めていく具体的な内容は,国主導で特区指定が行われ,区域方針が示された後に,区域会議において国・民間事業者・自治体の三者で協議・決定していく仕組みになっている。
 在留資格要件の緩和については,昨年の提案の段階では「クリエイティブ」「ヘルスケア」「食関連分野」の3つの戦略分野を中心に要件緩和を検討していたものであるが,特区指定後は,総務企画局に専門の部会を設け,「グローバル創業・雇用創出特区」という観点からどのような在留資格要件の緩和が考えられるか,改めて検討を行い,第1回区域会議においては,「外国人創業人材」と「優秀な留学生」の活用という切り口で,3つの戦略分野も含めた様々な産業を包含する形での提案を行ったもの。
 今後,仮に,在留資格に関して国から何らかの要請があれば,その時点で検討を行うことになるとは思うが,現時点で在留資格に関してさらなる追加提案を行うことは考えていない。

 

③「労働の流動化」をめざす自治体の長としての適格性

 

〈栃木〉
 本市は、国へのヒアリングで事前解決型の解雇など解雇規制の緩和に関して「我々が申し上げているのは、労働の流動化を図るべきではないかという観点があります」と、わが国の労働社会のあり方をめぐる本質的な主張をしていますが、高島市長はどのような意味で「労働の流動化」を図らなければならないと言われたのかお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 「労働の流動化」については,昨年9月,解雇規制の緩和に関する福岡市の提案には,「労働の流動化を図るべきではないかとの観点がある」と申し上げていたもの。
福岡市の提案は,
 ・創業間もない企業は,正社員の雇用ニーズは高いものの,経営は大変厳しく,不安定で,解雇に関する要件が不明確であることから,正社員を雇用することについて躊躇感があるとの認識の下,
 ・創業間もない企業における正社員の雇用を促進していく観点から,労働基準監督署の監視体制を強化することと併せ,正社員として雇用した上で,創業後5年に限って,解雇に関する規制を緩和することであった。

 

 この提案の説明で使っていた「労働の流動化」の意味は,たとえば,厚生労働省の平成25年版の労働経済白書にあるように「成熟分野から成長分野への失業なき労働移動や多様な働き方の実現といった『成長のための労働政策』を推進していくことが重要」といった観点が,今回の提案の背景にはあるということを述べていたもの。

 

〈栃木〉
 そもそも「労働の流動化」については、平成13年に経済財政諮問会議で当時の竹中平蔵経済・財政担当相が「新世紀維新のための経済財政政策」の中で「雇用の流動化・拡大に向けて」を提示してから「解雇規制の緩和」が繰り返し議論の俎上にのぼるようになってきました。6月の区域会議にも出席された竹中さんの考え方は、「解雇しやすい仕組み」を取り入れることに主眼を置いているとも言われています。先ほど答弁のあった「労働の流動化」を図る理由で、「成熟分野から成長分野への失業なき労働移動や多様な働き方の実現を推進していくこと」だと言われましたが、解雇規制を緩和しても「失業なき労働移動や多様な働き方」ができると確信されているのでしょうか。このような綺麗事は、過去に何度となく聞かされ続けてきましたが、いまや力関係で圧倒的に勝る使用者に雇われる市民の誰もがやすやすとは信じないのではないでしょうか。
 解雇規制の緩和などによる「労働の流動化」が、市民生活にどのような結果をもたらすのかについて、もういちど市長の基本的な認識を伺いたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 ご指摘の「労働の流動化」との表現は,昨年9月の提案の説明の際に使ったもので,その際の基本的な考え方は,今回の提案は,創業間もない企業の正社員の雇用促進など雇用の拡大につながるものであり,そのことが,成長分野への失業なき労働移動にもつながるということであったもの。
 さらに,このことは,事業者や産業の競争力の増大につながるとともに,福岡市の経済全体にプラスの効果を与え,市民や事業者に幅広くメリットがあるものと考えている。

 

〈栃木〉
 「労働の流動化」について、そのメリットばかりを語られましたが、現実はそれ以上にデメリットが大きすぎるからワーキングプアなどの社会問題が顕在化したのではないですか。
 ここ20年間で労働法制改正、労働規制緩和が続き、「労働の流動化」が進んだ結果、国民市民の生活は激変したといっても言い過ぎではありません。先ほど述べましたように、正規雇用が非正規雇用にとって代わり、賃金のみならずセーフティネットの柱であるはずの医療、年金等の社会保険の無保険状態、子弟の就学はもとより、次世代の就職格差へと世代を跨いで社会格差が繰り返し連鎖し、固定化していく日本社会に変わってしまったのではないかと言われています。
 社会格差が連鎖、固定化していく現状を踏まえると、市民生活の現場で、市民生活をギリギリのところで支えるべき自治体の長が、この現実を直視することなく「労働の流動化」の必要性を公言すべきではないと考えるが所見をお聞きします。あわせて、市長には昨年9月の国ヒアリングでの「雇用の流動化」を促進すべきとする発言を撤回されるべきだと考えるが、見解をお聞きしたい。

 

〈経済観光文化局長〉
 お尋ねの「労働の流動化」という表現については,一般に定義が明確ではなく,場合によっては,国への提案の説明の際に使った意味とは異なり,「雇用の不安定化」を招くとの面から使用する場合がある。
 この点に関し,福岡市としては,市民が安心して豊かな暮らしを送る上で,雇用は大変重要であると認識し,これまでも,各区に設置する就労相談窓口において,よりそい型の就労支援に取り組むなど,雇用促進に努めてきたところ。
 今後は,国家戦略特区での取組みにおいて創業企業が事業継続していけるようしっかりと支援していくとともに,創業企業と創業企業で働きたい方との人材マッチングなどに取り組む。
 また,中小企業・小規模事業者全体が事業継続していけるよう,中小企業・小規模事業者振興推進プランに基づく取組みにも,関係機関と連携しながら,しっかりと取り組んでまいりたい。

 

〈栃木〉
 やはり現実を見ようとしていませんね。日本では、いちど離職すると長期失業となる率が主要国の中でも高いんですよ。認識が希薄ですね。市長、自治体がそんなことでいいんですか。
 福岡市雇用特区をめぐり市長の前のめりの姿勢ばかりが目立ち、議論がかみ合わないのは、雇用を数の上でしか理解しようとしないために、雇用のあり方はどうあるべきかというメッセージが市民には届かないからです。市民が安定して家族を支えることのできる働き方、暮らし方を追求するという、市長の政治姿勢の欠如に原因があるのではありませんか。そもそも雇用特区の実現によって市民生活がどのように豊かになるのかが理解できない、さっぱり分からないからではないでしょうか。市長の考えは、創業まもない特定の企業の法人税を大幅に減税する、できれば解雇規制を緩和して経費を圧縮することで、これら特定企業が成長し福岡経済を牽引するから、いずれ果実の果汁が滴り落ちるのを市民も、ベンチャー以外のその他の企業もそれまでは辛抱してほしい、我慢して待ってほしいと、言っているようにしか私には思えません。しかし、甘い果実がたわわに実るなどとは、何の根拠も説明もされていないのでは話になりません。
市民生活の豊かさにとって、雇用特区の実現がなぜ不可欠なのか、市長の説明をお伺いします。

 

〈市長〉
 福岡市においては、これまで、大学生など豊かな人材、そして開業率の高さ、住みやすいと評価されている都市環境など、福岡市が持つ強みを最大限に活かしてスタートアップ都市づくりに取り組んできたところ。
 スタートアップ、つまり「創業」が盛んになることによって、市民にとっては、多くの雇用が生まれ、地元での就職の機会が増えるとともに、新しい商品やサービスによって生活が豊かになることが期待できる。また、地場企業にとっては、創業企業が提供する新たな商品やサービスを活用したビジネス・モデルの構築や、創業企業との提携による新たな取引先の開拓、海外市場へのビジネス展開といった効果が期待できる。地元経済がこのような形で活性化することによって、市民一人ひとりが暮らしの豊かさを実感できるようになると考えている。
 今回、福岡市が国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」に指定されたことにより、市の政策をこれまで以上に加速させるとともに、国の施策、税制などを特区で認められた規制改革と有機的に組み合わせ、一体的な政策パッケージとして推進していくエンジンを与えられたと考えており、今後、国内外からチャレンジしたい人と企業が集い、新しい価値を生み続ける都市「グローバル創業都市」を目指して、着実に取り組みを進めていきたい。

 

〈栃木〉
 市長は、特区のメリットばかりしか語りませんね。不安定雇用層の増大などマイナス面を語らない、語れないリーダーは、本物のリーダーとは言えません。
 そもそも、今回の雇用特区構想には重大な問題を抱え無理があり、とん挫せざるを得ないと思います。開業率、新規雇用者数など特区の効果を示す目標数の根拠が曖昧かつ不明確であり、そもそも市長はセーフティネットの構築に関心が薄いうえ、市民である雇用労働者の働かせ方が過酷になる可能性を排除しない市政運営、経済効果のあいまいなままに特定の企業のみに減税する不公平、将来リスクを拭えない外国人の在留資格取得の要件緩和では、福岡市民の生活を豊かにするとはほど遠く期待できそうにありません。福岡市は国に言い様に使われているだけではありませんか。
 市長の答弁内容はそれでも無理やり雇用特区構想を進めるとのことであります。そうであるならば高島市長は、自治体の長としての適格性に欠け、市民の信頼を失うであろうと断じて質問を終わります。