2015年(平27)9月11日 一般質問 質疑応答全文(福岡市議会議員 栃木義博)

 
【栃木】
 福岡市民クラブを代表して質問します。その前に北関東を襲った豪雨災害で被災された皆さんに心よりお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧をご祈念申し上げます。

 

■急増する外航クルーズ船寄港の動向と受け皿づくり(ツアーバスによる交通混雑対策を含む)

 

問【栃木】
 天神ランプから東に都市高速を走ると、中央ふ頭に巨大なクルーズ船をしばしば見受けるようになりました。隣国隣人の旺盛な消費意欲は本市経済にとっても魅力的に映りますが、無論有難いことばかりではありません。キャナルシティや福岡タワー周辺の通りにツアーバス(大型観光バス)が数珠つなぎで並び、車両の隙間から大勢の乗客が出入りして危険だし、行き交う自動車やバスも迷惑だろうなあ、と実感するところです。そこで持続可能なクルーズ船誘致に向けた受け皿づくりについてお尋ねします。まずクルーズ船寄港数、上陸(入国)した乗客数について博多港と全国の状況を知りたい。

 

答【港湾局長】
○ 外航クルーズ船寄港船隻数につきましては,平成26年は全国では653回の寄港があったのに対し,博多港は99回の寄港で,これは全国第1位となっております。クルーズ船により来日した外国人旅客者数につきましては,平成26年は全国では約41万となっており,そのうち博多港には約21万人の方がお越しになりました。

 

問【栃木】
 これまでのクルーズ船誘致に向けた本市の施策展開を聞かせて欲しい。
 

答【港湾局長】
○クルーズ船誘致については,乗客数も多く,乗客の平均消費額も高いことから,観光振興における誘客の柱のひとつとして,博多港への積極的な誘致と,受入環境の向上を図ってきた。
○誘致に向けては,クルーズ船社訪問やコンベンションへの出展,国内 外の関係者を集めた「福岡クルーズ会議」の開催,毎月福岡の観光情報等をお知らせするクルーズニュースの配信などを行い,博多港のPRを行ってきたほか,クルーズ人口の拡大を目的に,市民向けのクルーズセミナーや船内見学会,市民クルーズなどを実施している。
○受入環境の向上としては,ハード面では岸壁の整備,クルーズセンタ ーの建設,バス待機場の整備などを実施したほか,ソフト面では,お客様の満足度向上の観点から,離着岸時の歓迎演出,クルーズセンターにおける多言語での観光案内などを行っている。
 

問【栃木】
 今後の見込まれる寄港数と上陸(入国)乗客数をどのように予測しているのか。あわせて全国の見通しも報告して欲しい。また博多港への受け入れ能力について、クルーズ船寄港の限界数を知りたい。
 

答【港湾局長】
○ 博多港におけるクルーズ船の今後の寄港につきましては,内航クルーズを含めて平成27年は283回,平成28年は400回の岸壁利用の申し込みがあっております。乗客数は,それぞれ65万人,100万人を見込んでおります。
○ 全国の今後の見通しにつきましては,アジアクルーズ産業白書において,平成24年に130万人だったアジアのクルーズ人口が平成32年に中国市場を中心に380万人に増えると予想されるなど,大勢としては増える傾向が続くと予想しております。
○ 博多港におきましては,中央ふ頭及び物流との調整を行いながら箱崎ふ頭でクルーズ船の受け入れを行っており,施設的には限界に近いとみております。

 

問【栃木】
クルーズ船寄港による本市の経済効果をどのように見ているのか聞きたい。また入港料・岸壁使用料収入の推移を知りたい。あわせて寄港需要の急増にともなう港湾施設整備の必要性について伺いたい。
 

答【経済観光文化局長】
○ クルーズ船寄港による本市への経済効果につきましては,外航クルーズ寄港数が91回を数えた平成24年度に調査を行い,59.4億円と推計しておりました。平成26年の外航クルーズ船による経済効果につきましては,寄港数が99回(中国発着91回)であることから,経済効果は増加していると考えております。
 

答【港湾局長】
○ 入港料・岸壁使用料収入につきましては,平成26年度が約6631万円,平成27年度は予算額としては,約1億2495万円を見込んでおります。
○ 現在,アジア最大の客船クァンタム・オブ・ザ・シーズを,岸壁延長等の不足により,やむを得ず箱崎ふ頭で受け入れている状況を早期に解消するため,中央ふ頭の岸壁を部分的に延伸するなどの整備が必要であると考えております。
○ また,今後のクルーズ需要や船舶の大型化に対応するため,中央ふ頭において,大型クルーズ船の2隻同時着岸受入を可能とする岸壁の延伸等の受入環境の強化が必要であると考えております。
 

問【栃木】
 本市において上陸した乗客の行動目的・形態と行動手段を聞きたい。

 

答【経済観光文化局長】
○クルーズ客船の乗客が参加する寄港地ツアーは,着岸後の朝出発し,夕方には船に戻ることが多く,短時間で効率的な周遊を行うため,福岡市内又は近郊への観光と昼食,ショッピングを組み合わせたものが多く,乗客の多くが参加しております。
○移動手段としては,乗客の多くが大型観光バスに乗車し,団体で行動しております。

 

問【栃木】
 上陸した乗客を乗せたツアーバスの駐停車による交通混雑の状況と認識を問う。
 

答【経済観光文化局長】
○ クルーズ船の寄港数の増加や船の大型化に伴い、市内を走行する大型観光バスが増加しております。
○ 都心部の商業施設(キャナルシティ)や一部の観光施設(福岡タワー)の周辺では、バスが集中して訪れることから、駐車場が不足し、駐車場待ちのバスによる交通渋滞の発生や、乗客の降車後、乗車するまでの間、バスが路上待機を行うことにより、近隣交通に支障をきたしている状況です。
○ 市としても、観光バスの受入環境の改善に向けて、早急に対策を講じる必要があると認識しております。

 

問【栃木】
 本市に次いでクルーズ船寄港の急増に対応が迫られている長崎市では5月に県営駐車場の敷地を拡張。ツアーバスによる交通混雑の緩和に向けて県などと連携してさらに駐車場の確保等に取り組んでいくとしている。そこで混雑解消に向けた本市の誘致責任を問う。駐車場の新設やゲート整備のほか整理員の配置など具体的かつ実効的な対処法を早急に図るべきだと思うが、考えを尋ねる。
 

答【経済観光文化局長】
○ 観光バスの受入環境改善については,スピード感をもって対応するため,副市長をトップとした関係局・区長による対策会議を設置しており,ソフト・ハードの両面において,でき得る限りの対策を検討し,順次,実施しております。
○ ソフト面では,旅行会社に対してツアー行程分散化の要請を行うとともに、福岡タワー周辺には,8月下旬から交通指導員を配置しております。
○ ハード面では,7月1日には,大型商業施設がツアーバス10台分の駐車場を増設,都心部については,マリンメッセ福岡の駐車場の一部開放に加え, 8月15日には,旧舞鶴中学校跡地に,働きかけていた,国の駐車場がオープンし,観光バス15台分のスペースが確保されております。また,福岡タワー周辺に集まる観光バスの待機場所として,9月15日より、競艇場駐車場の一部で、観光バス50台分を開放してまいります。
○ 引き続き,公有地等を活用した臨時駐車場の確保を図るとともに,関係機関等とも連携を図りながら,観光バスの受入環境の改善に取り組んでまいります。
 

問【栃木】
 誘致促進に港湾施設使用料を全額免除する大阪市のほか、長崎県も母港化をめざすとされています。クルーズ船需要増の見極めと本市のもつ既存施設など都市基盤を生かすことができれば、外国人客の訪日来福の一方通行から国内客を加えた双方向にする博多港のクルーズ船発着拠点化を視野に入れることは、あながち不可能ではないと思うが、本市の考え方を聞きたい。
 

答【港湾局長】
○福岡市といたしましては,博多港は日本一のクルーズ拠点港を目指すこととしており,今後,積極的に,クルーズ専用の岸壁や交通広場などの受入環境の整備を進めるとともに,博多港発着クルーズの振興等クルーズ形態の多様化を進めてまいります。

 

問【栃木】
 クルーズ船受入れにあたり本市港湾施設能力の限界に差しかかりるなかで、博多港の発着拠点化をめざし、今後もクルーズ船を積極的に誘致していくためには、県下各地で登録された世界産業遺産など周遊地発掘をすすめるほか、広く新たに観光資源を開発するとともに、福岡県をはじめ九州各県、各港と連携しながら寄港地を分担・分散するなどして課題解決にあたるべきだと思うが、本市の方針を伺う。
 

答【副市長】
○クルーズ船寄港に伴う経済効果ができるだけ広い範囲に及ぶよう,船会社や旅行社に対し,新たな観光地を提案してきており,市近郊については,太宰府天満宮や福岡タワーなどの定番コースに加え,マリンワールドや海の中道海浜公園,油山牧場などにも観光客が訪れるようになっております。
○また,滞在時間が長いクルーズ客船の場合には,市も商品造成に協力し,
これまでも県内外への広域ツアーが実施されております。
○東アジアクルーズ市場においては,大手クルーズ船社による新型大型客船の投入が続くなど,今後とも市場が拡大するものと見込まれます。このような旺盛なアジアクルーズ需要をしっかりと受け取め,地方創生につなげていくためには,九州各県・各港と情報交換や連携を進めてまいりたい。
 
■大都市制度改正にともなう県・政令市間の「二重行政」の見直し

 

問【栃木】
 今年5月、全国から注視された「二重行政の解消などをめざす大阪都構想」の是非を争点に実施された大阪市住民投票は、有効投票数1,400,429票、投票率67パーセントで、10,741票の僅差で否決された。この結果を受けて、市長の感想、評価を聞きたい。
 

答【総務企画局長】
○大阪都構想は,人口や財政の規模,都市の成り立ちなど福岡市と事情が異なる大阪特有の課題の解決策として進められたものである。
○今回の結果は,大阪市民が大阪にふさわしい地方自治の仕組みのあり方を選択し,意思表示したものと認識している。

 

問【栃木】
 市長は平成24年4月に、人口約240万人の福岡都市圏17市町による「都市州構想」を表明したと報じられたが、大阪都構想の住民投票結果を踏まえて、今も都市州構想実現の意思を持ち続けているのか伺いたい。
 

答【総務企画局長】
○議員ご指摘の報道は,平成24年度の新規事業として,「大都市制度のあり方の調査検討」を開始したことをもって,「『都市州構想』の検討に着手した」と報道されたものと認識している。
○福岡市としては,この「大都市制度のあり方検討」の結果を踏まえ,「基礎自治体優先の原則」のもと,国や県からの権限と税財源の移譲を可能な限り進め市民サービスの向上を図るとともに,圏域の一体的な発展により,九州ひいては日本の成長を牽引できる大都市としての機能強化を図っていきたいと考える。

 

問【栃木】
 議会事務局を通して調査したところ、20政令市中13市で「二重行政」が有ると回答したが、本市と県との間には「二重行政」は有るのか無いのか。有るとすればそれは何か。例えば窓口が多岐にわたる就労支援、大挙して押し寄せる外国人観光客への対策、都市高速道路に加え河川管理・土砂等災害対策の広域にわたる交通基盤、都市基盤の整備と維持管理のあり方など県・政令市間で重なり合う共有する課題は少なくないと思うが、認識を問う。
 

答【総務企画局長】
○県と政令市の双方で行っている事業は,道路・河川の整備や管理,豪雨発生時の災害対策など広域的に取り組むものや,外国人観光客への対策や中小企業支援など共通するものがあり,共有する課題はあると認識している。
○これらの共通課題については,県と市が連携し,役割分担や相互補完をしながら取り組んでいる。  

 

問【栃木】
 国と自治体のあり方をめぐり近年、大阪都構想をはじめ自治体側から積極的な発言が相次いだ結果、大都市制度改正に向けて地方自治法が昨年改正され、「指定都市都道府県調整会議」の設置が法定化された。来年4月から福岡市長と県知事からなる「指定都市都道府県調整会議」が自動的に設置されることになる。市長、知事のいずれかの求めに応じて、調整会議は開かれなければならないとなっているが、「調整会議」設置に向けてどのように取り組んでいくのか尋ねる。
 

答【総務企画局長】 
○「指定都市都道府県調整会議」は,指定都市及び都道府県の間における事務処理について必要な協議を行う場として設置されるものである。
○協議の内容については,県,北九州市の三者で検討を行っているところである。 

 

問【栃木】
 市民にとって、県・政令市間に横たわる諸課題の解決こそが重要であって、責任主体がどちらでも構わない、どちらの自治体の責任かは問題ではない。市長は県・本市間の課題解決に向けて、どのように取り組んでいくのか、所見を聞きたい。
 

答【市長】
○広域的に取り組むべき課題や共通する課題については,役割分担や相互補完を行うなど,連携を図って取り組んでいるところである。
○事務の効率化や市民サービスの向上を図るために必要な権限や財源の移譲,また,県下で政令市と一般市町村との間で取扱いに格差のある案件については,引き続き,県に対して粘り強く働きかけていく。
○今後とも,県と市の間の課題の解決に向け,積極的に取り組んでいく。
 
■福岡市国家戦略特区(雇用特区)の取り組み状況

 

問【栃木】
 特区についてはちょうど1年前に質問しましたが、その後開設した雇用労働相談センターの相談状況を聞きたい。相談件数、および使用者側、労働者側、起業予定者などそれぞれの件数、ならびに相談内容を教えてほしい。また、相談センターの設置している関西圏特区、東京圏特区についても合わせて聞きたい。
 

答【経済観光文化局長】
○厚生労働省によると,平成27年6月末時点で以下のとおり。(件数)  

 

使用者側 労働者側 合計 相談内容

(相談件数が多い順)

福岡市 280 119 593

(月平均約85件)

採用関係…217件

法令等の内容照会…180件

労働条件の設定・変更…112件

関西圏 90 25 127

(月平均約21件)

法令等の内容照会…35件

採用関係…22件

労働条件の設定・変更…19件

東京都 131 19 155

(月平均約31件)

採用関係…80件

労働条件の設定・変更…32件

退職、就業規則…各8件

 

問【栃木】
 とりわけ労働者側の相談件数が福岡市特区の雇用労働相談センターで119件と、東京圏、関西圏と比べて際立って多いが、労働者側の相談内容について具体的な対応結果を知りたい。本市は昨夏、九州労働弁護団から労働者保護ルールの順守について申し入れを受けた経緯もあり、丁寧な対応を求める。所見を伺いたい。
談内容を教えてほしい。また、相談センターの設置している関西圏特区、東京圏特区についても合わせて聞きたい。
 

答【経済観光文化局長】
○福岡市雇用労働相談センターの労働者側の相談内容については,厚生労働省によると,平成27年4月末時点で,相談件数が多いものから,
  法令等の内容照会…44件
  労働条件の設定・変更…20件 
  採用関係…11件 となっている。
個別の対応結果については,明らかにされていないが,相談者を対象としたアンケートでは,9割を超える方から「参考になった」「また利用したい」との回答を得ていると聞いている。

 

問【栃木】
 雇用労働相談センターを利用して起業や雇用、採用に結びついた事例、結果を知りたい。
 

答【経済観光文化局長】
○厚生労働省が,把握しているもののみの数だが,起業・雇用の拡大事例として,起業について8社,雇用拡大について6社とのこと。

 

問【栃木】
 アジアで最も開業しやすい都市、スタートアップ都市をめざして、本市は昨年、国に国家戦略特区の導入を働きかけ指定された。そのための方法論として、①弾力的な雇用環境の整備(労働規制緩和)、②法人実効税率の低減(創業開始5年間)、を施策の柱に据えている。そのうち特区に限定した労働規制緩和については事実上断念されたものと理解しています。もうひとつの柱である法人実効減税について質問に入る前に、一年前のわたしの質問で回答が不明瞭であった開業率と廃業率の相関関係について改めてお尋ねしたい。
 

答【経済観光文化局長】
○過去の中小企業白書(平成20年度)では,都道府県別の開業率と廃業率の相関関係をみると,高い相関関係を有すると分析されている。

 

問【栃木】
 何も言っていませんね。質問を続けます。「開業率が25年度、26年度と2年続けて7パーセント超えの大都市1位。開業、廃業とも上位なのは、本市のほかは札幌と名古屋。」などと言葉は躍っているが、どの産業分野で開業が進み、逆にどの産業分野で廃業が進んでいるのか、そもそもその把握できているのかどうかを聞きたい。
 

答【経済観光文化局長】
○福岡市域の産業分野毎の統計がある経済センサス(H24-H26)の速報値では,開業は事業所の増加が多い順で卸売業,小売業や医療福祉,宿泊業,飲食サービス業が多くなっている。
○廃業は事業所の減少が多い順で製造業や協同組合などが該当する複合サービス事業が多くなっている。
○前回のセンサス調査時では19分野中5分野が事業所増。今回調査では14分野の事業所増と4,780事業所減から4,141事業所増へ大幅に拡大している。

 

問【栃木】
 例えば名古屋市(開業率6.0%、廃業率5.6%)、川崎市(開業率5.5%、廃業率5.4%)、札幌市(開業率5.5%、廃業率4.9%)、東京都23区(開業率5.1%、廃業率4.0%)のように、開業率と廃業率が近接する都市も見受けられるが、本市の場合は開業率7パーセント、廃業率4.4パーセントと開きがある。この開きを本市はどのように見て、本市産業と経済の姿をどのように分析しているのか、聞かせて欲しい。
 

答【経済観光文化局長】
○開業率7パーセント,廃業率4.4パーセントという数値につきましては,そ れぞれ平成26年度の雇用保険事業統計における福岡都市圏の新規適用事業所数,廃止事業所数の割合となっており,開業率が廃業率を2.6ポイント上回り,適用事業所数がその分増加していることを示しているものでございます。
○開業率と廃業率の開きだけを捉えて,福岡市の経済全体について評価することは困難であると考えておりますが,福岡市におきましては,開業率,廃業率ともに政令指定都市の中でも比較的高いことなどから,国が「日本再興戦略」の中で目指している産業の新陳代謝が進んでいるのではないかと考えております。

 

問【栃木】
 開業率と廃業率の開きが大きいほうが本当に良いのですか。アベノミクスの恩恵に与る東京、名古屋より福岡市の方が経済活動が活発だと言われるのでしょうか。理解できません。本市外郭団体の福岡アジア都市研究所から今年7月、HP上に公開された「Fukuoka Growth」というレポートで、「2014年度の雇用保険資格喪失者は195,982人で、資格取得者数は、これを18,771人上回っています。」と、雇用の増加を誇っています。これは特区推進の成果と思わず勘違いしそうですが、本当にそのまま受け取れる内容なのか尋ねる。雇用保険資格取得者は2009年から一貫して増加しているが、増加分の雇用形態を聞かせて欲しい。あわせて、雇用保険資格喪失者数の推移ならびに協会けんぽ等の被用者保険加入者の推移を知りたい。また、本市の正規雇用者数、非正規雇用者数の推移を報告してもらいたい。
 

答【経済観光文化局長】
○雇用保険資格取得者並びに同喪失者数は,福岡労働局にて統計がある平成18年から平成26年まで,取得者数が喪失者数を上回っている。
○雇用保険資格取得者数については,福岡都市圏の数値で平成24年度が199,069人,平成25年度が210,194人,平成26年度が214,753人
○雇用保険資格喪失者数については,福岡都市圏の数値で平成24年度が186,872人,平成25年度が191,145人,平成26年度が195,982人
○取得者数と喪失者数の差は当該年度の被保険者数の増減を示す。リーマンショック当時(平成20年度)は5千人を割り込むが,平成22年度以降は1万人以上。
○平成25年度は19,049人,平成26年度は18,771人と伸びており,様々な要因があるが,スタートアップ都市づくりの取組も一定寄与していると考える。
○雇用保険資格取得者の雇用形態については,労働局が福岡都市圏のデータを公開していない。
○全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被用者保険加入者数については全国健康保険協会が福岡市域の数値について公開していない。
○正規雇用労働者の数は,平成19年が401,900人,平成24年が376,500人,非正規雇用労働者の数は,平成19年が229,100人,平成24年が272,400人。(出典)総務省の就業構造基本調査(平成19年,平成24年分)

 

問【栃木】
 本市の場合、非正規雇用者は毎年1ポイントづつ増加し続けており、全国を上回っている。雇用増が不安定雇用を拡大するのならば本末転倒であると言わねばならない。繰り返す不安定雇用の連鎖は解雇、低賃金、無保険状態にあると言われています。そのうち無保険状態についても本市の現状はよく知られていません。平成24年の正規労働者376,500人(58%)と非正規労働者272,400人(42%)の合計で648,900人。これが本市の雇用労働者数です。ここでは詳しく述べる余裕はありませんが、協会けんぽなどの被用者健康保険被保険者数を推計すると484,700人です。すると、本市の不安定雇用者の約16万人が無保険状態に置かれていることは否定できません。少なくとも彼らの中には家族の健康保険に依存していることも容易に察しがつきますが、基礎自治体として本市は雇用労働環境の実態をまず把握して対処すべきことを意見しておきます。
「開業率・廃業率ともに上昇し、新陳代謝が進むことを目標としていますが、…新陳代謝が進めば、開業率のさらなる上昇につながる」と、福岡アジア都市研究所は「Fukuoka Growth」のなかで、新陳代謝の促進が目標だと言っているじゃないですか。それはスクラップ・アンド・ビルドが必然の産業構造転換を目指すことと同義だと理解できる。ならば本市の産業構造が将来どうあるべきかを聞いた記憶がないので聞かせて欲しい。本市は何をスクラップし、何をビルドするのか、したいのか。そのためには本市は何ができ、何ができないかを明確にして、基礎自治体として何をすべきかと。とりわけスクラップされる側の人びとに痛みのともなわない構造転換はあり得ないと思うからこそ、市長には謙虚な姿勢と冷静な視点で語ってもらいたい。
 

答【経済観光文化局長】
福岡市の産業特性としましては,
○政令指定都市の中で唯一,一級河川がなく,製造業などの工場立地に適さないこと,
○卸売・小売業やサービス産業などの第3次産業が発達し,それが産業全体の9割を占めていること,
○また,事業所の約99%が中小企業であることなどがございます。
また,福岡市の強みとしましては,
○アジアに近く,西日本の陸海空の交通拠点であり,都市機能が都心部に集積するコンパクトシティであること
○大学が多く,大学生・留学生など優秀な人材も集積していること
○オフィスなどのビジネスコストが安く,住みやすい都市であること,
などがございます。
福岡市としましては,こうした特性や強みを踏まえ,
○流通・物流など,これまで形成されてきた基幹産業の着実な維持・発展
○新たな雇用の創出にも大きく貢献するスタートアップ都市づくりの推進,
○豊富な人材を背景とした,クリエイティブ,コンテンツ,ITといった知識創造型産業の振興,
○交流人口の増加を通じて第3次産業の活性化につながる,観光の振興,MICEの誘致推進
などのほか,
○今後,高い成長が見込まれる,環境・エネルギー,医療・ヘルスケアなどの分野で,戦略的な産業振興に取り組んでいるところでございます。
○福岡市としましては,社会経済情勢が大きく変化す中で,福岡を拠点にして様々なチャレンジをし,活躍する企業や事業者をしっかりと支援してまいりた
いと考えております。

 

問【栃木】
 特区の目標が昨年の答弁と比べるとはっきりしてきましたね。「新陳代謝」という表現をされましたが、別の言い方をすれば「スクラップ・アンド・ビルド」です。ならばスクラップされる側、特区の「影」に光を当て、施策展開するのが基礎自治体の仕事ではないでしょうか、認識が希薄です。
つぎに、特区のもう一つの柱について質問します。本市は創業開始5年間について法人実効税率の低減を国に提案し、「現在、国等と協議、検討を行っている」と昨年の質問に対して答弁されたが、一年が経ち法人実効税率を低減する制度創設の目途は付いたのか尋ねる。あわせて国等での議論の経過と内容、課題のポイントを聞きたい。
 

答【経済観光文化局長】
○昨年の福岡市の提案については,平成27年度内閣府税制改正要望において,「創業5年以内の一定の企業に対する法人税の軽減措置の創設」として財務省等に要望された。
○その後,政府・与党内において検討が行われ,与党税制改正大綱がとりまとめられた。同大綱では,「今後,各区域における実際の事業の実施状況を見極めた上で,特区に認定されなかった地域とのバランスや,地方創生や国際戦略総合特区等における他の税制との役割分担や整合性等に留意しつつ,引き続き検討する」こととされた。
○これを受け,今年度も国等と協議・検討を重ねているが,福岡市の提案等を受け,平成28年度内閣府税制改正要望が,昨年度に引き続き財務省等に要望されたところ。この要望については,今後,昨年同様に政府・与党内においてさまざまな検討が行われるものと認識している。実現の目途については,予断を許さないが,実現に向けしっかり取り組んでいきたいと考えている。

 

問【栃木】
 進んでいませんね。スタートアップ都市の実現にとって、法人実効税率低減は、鍵となる政策課題だと聞かされてきた。本市がスピード感をもって「アジアで最も開業しやすい都市」の実現をめざすならば、国の税法改正を待つばかりではなく、大阪市が独自条例を定め、一昨年から地方税をゼロにして法人実効税率を26パーセントにまで低減しているように、地方税法第6条を適用して、本市独自に不均一課税の導入を検討するのが道理ではないのか、本市の本気度が問われていると思うが、所見を問う。
 

答【経済観光文化局長】
○福岡市の提案は,創業の促進や対日投資を図るため,創業法人の法人実効税率をアジアの主要都市と比べて競争力のある水準まで引き下げようとするものであり,現在の法人所得に係る実効税率のうち約8割を占める国税,とりわけ法人税の軽減措置が是非とも必要であると考えている。
○市税の軽減措置については,今後の国における議論等も踏まえ,検討を行ってまいりたいと考えている。

 

問【栃木】
 特区を誘致する際、市長は「我々はどんどんやっていきたい。…正直だめだと言われても、絶対にやろうと思っています」と強調されたやに記憶していますが、あれは何だったのでしょうか。昨年9月議会の質問では、開業5年以内の法人実効税率の低減をめぐり、「制度創設については、さまざまな想定が考えられることから現在、試算を行っており、現時点ではお答えできるものはない」と答弁されていたので改めてお尋ねしたい。法人実効税率の低減方針について、開業5年以内の全企業および中小企業の納税額、納税率等の試算、ならびに減税による減収見込額と将来の起業による税増収額などシミュレーションをお聞かせいただきたい。
 

答【経済観光文化局長】
○試算等については,現在,「平成28年度内閣府税制改正要望」を踏まえ,国等と協議、検討を行っているところ。この制度の創設については、さまざまな想定が考えられることから,現在試算を進めているところであり、現時点ではお答えできるものはない。

 

問【栃木】
 わたしは特定企業への減税は市民の不公平感を増幅し弊害が多すぎるので慎重であるべきという立場だが、1年が経過してなおもシミュレーションしていない、だせないと言うのであれば法人実効税率低減の国要望をはじめ、福岡市国家戦略特区(雇用特区)はどこか他人事であり、本市によるスタートアップ都市の実現は本気ではないと受け取られても仕方ない。市長の見解を聞きたい。
 

答【市長】
○国家戦略特区については,創業の促進と創業環境の整備の観点から,国の規制改革に市の施策を有機的に組み合わせた一体的な政策パッケージによって,新たなビジネスと雇用を生み出していく。
○これまで,雇用労働相談センターを併設するスタートアップカフェの開設や航空法の高さ制限の特例承認に市独自の容積率の緩和等を組み合わせた天神ビックバンなど,新たな規制緩和の提案などにも積極的に取り組んできた。
○法人実効税率の引下げは,そのパッケージの一つとして国に対し強く要望しており,今年度の与党税制改正大綱において「引き続き検討する」とされたことを踏まえ,現在,国等と協議・検討を行っているところ。
○この税制により,創業者が国家戦略特区についてのメリットをより実感でき,また,創業企業がリスクをとってチャレンジを行い,新たなイノベーションを生み出す環境を整備することにより 国家戦略特区の使命である国際競争力の強化につなげていく決意で取り組んでいる。
○今後とも,国家戦略特区を推進エンジンとして,国内外からチャレンジしたい人と企業が集い,新しい価値を生み続ける都市である「グローバル創業都市・福岡」を目指していく。

 

意見【栃木】
 昨年6月の区域会議で、特命担当大臣から「集中改革期間は2年…特区はスピードと実践をキーワードに進め」るとする発言がなされていますが、すでに1年が経ち、答弁のような状態であれば特区の先行きはおぼつきません。労働規制緩和、法人実効減税にこだわらず、別の政策手段に切り替えられることをお勧めします。

 
■自衛官募集、自衛艦の港湾施設使用など自治体協力のあり方

 

問【栃木】
 6月議会で「安全保障は国の専管事項」や「法定受託事務」を強調し、国の前に立ちすくむ自治体の姿勢には違和感を覚えましたので質問します。安倍内閣の上程した安保関連法案の参議院審議が大詰めを迎え、国民の関心が議論の行方に集中しています。仮に法案が成立施行されると、自治体行政を通して住民生活に与える影響は無縁ではあり得ません。そこで現在、自衛官募集、自衛艦の港湾施設使用など本市の協力事務の事例と法的根拠を教えてほしい。
 

答【市民局長】
○自衛官及び自衛官候補生の募集関連事務を,地方自治法に基づき法定受託事務として実施。
○具体的には,自衛隊法及び同法施行令に基づき,区役所での募集要項などの配置及び,区役所や地下鉄駅構内での募集ポスターの掲示等の広報を実施。
○なお,本市における募集に関する事務に要する経費は,自衛隊法により国庫の負担。                  
 

答【港湾局長】
○博多港は,商業港であることから港湾施設の利用については貨物船や旅客船に優先利用させております。
○そのため,貨物船等の着岸や荷役に支障がない範囲におきまして,自衛艦の入港目的が記念行事や乗組員の休養などの場合に限り,港湾施設の利用を許可しております。
○なお,現行法令における自衛艦の特定地域の港湾施設における優先利用に関する法律としては,平成16年に施行された「武力攻撃事態等における特定公共施設の利用に関する法律」がございます。
○当該法令につきましては,武力攻撃事態等において,対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため,特定地域の港湾施設に関し,特定の者の優先的な利用を確保するための利用調整等が規定されております。
なお,博多港において同法に基づく協力事務の事例はございません。
 

問【栃木】
 審議中の安保関連法案が成立するとすれば、法施行にともなう本市の処理する事務に影響がでるのかどうか、その理由も含めて聞きたい。
 

答【市民局長】
○自衛官等の募集関連事務として,国が作成した募集要項などの配置及び募集ポスターの掲示等の広報を行っているものであり,直接的な影響はないと考えている。
 

答【港湾局長】
○「武力攻撃事態等における特定公共施設の利用に関する法律」につきまして,現行の条文では,自衛艦及び米軍が港湾施設の利用調整の対象と規定されております。
○審議中の平和安全法制では,港湾施設に関する利用調整の対象に米軍以外の外国軍隊の行動が追加されておりますが,この法案が成立した場合でも港湾管理者としての事務処理に特段の変更はないものと考えております

 

問【栃木】
 先ほど「武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律」について説明があったが、港湾施設の利用調整について国の関与はどうなっているのか。法案が成立するとどのように変わるのか伺う。
 
答【港湾局長】
○港湾施設の利用調整に係る国の関与につきましては,法第7条第1項により,港湾管理者に対し要請できると規定されております。
○なお,要請に基づく利用が確保されない場合は,同法第9条第1項において,港湾管理者に対し,利用の確保を指示することができると規定されております。
○さらに,指示を行っても利用が確保されない場合は,同第3項において,内閣総理大臣が国土交通大臣を指揮し利用に係る許可の取り消し等を行わせることができると規定されております。

 

問【栃木】
 自衛艦の港湾施設使用については、先の回答では法案成立にあっても、第9条の3項で総理大臣が国土交通大臣を指揮して許可等の「取消し」を行わせることができるとのことだが、港湾法において地方公共団体が港湾管理者であるとされていることから、これに至る前の第7条「要請」、第9条1項「指示」の段階で、港湾管理者は市民と利用者の生命と権利、財産を守り抜く責務と姿勢を堅持すべきだと思う。本市の考えを尋ねる。
 
答【港湾局長】
○同法第4条におきまして,港湾管理者は,対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るためには,港湾施設の円滑かつ効率的な利用の確保が不可欠であることにかんがみ,港湾施設の管理運営に際しては,これらの利用に関する指針を踏まえ,国との緊密な連携を図りつつ適切に行うものと規定されていることからも,法の趣旨に基づき適正に対応してまいります。

 

問【栃木】
 自衛官募集など自治体による国の防衛行政の協力事務は法定受託事務とのこと。港湾管理、法定受託事務の双方に通底することだが、国と自治体のあり方にかかわる問題でもある。そこで自治体の判断で法定受託事務を拒否できるのかどうか、法的な強制力とその根拠を知りたい。あわせて、平成11年地方分権一括法制定以前の機関委任事務と何がどのように異なるのか、その意義を聞きたい。
 
答【総務企画局長】
○地方分権一括法により,機関委任事務制度及びこれに係る包括的指揮監督権が廃止されるなど,国と地方公共団体の関係は,上下・主従から対等・協力へと改められた。
○地方分権一括法施行後の平成20年7月に東京高等の判決を維持した最高裁における決定によると,法律が,国権の最高機関であり,唯一の立法機関である国会によって制定され、有効に成立している以上、行政機関は法律を誠実に執行すべきであるとされている。

 

問【栃木】
 集団的自衛権の行使を認める安保関連法案は違憲の疑いが濃いとされ、国民の反対多数の中で可決される公算が高くなっており今後、違憲訴訟が多発する見方さえある。このまま成立施行された場合、地方分権一括法制定の趣旨に照らせば、法定受託事務の国依頼に対して自治体の協力事務の合憲性、合法性を自治体は主体的に判断すべきだと考える。そこで、本市は主体的に判断するのか、しないのか。あるいはその判断なしに受託するのか、その理由を含めて考えを聞きたい。この際、本市が基礎自治体としての矜持を示していただくよう願い質問を終わる。
 
答【副市長】
○地方分権改革により,自治体に自主法解釈権はあると明確にされたものの,合憲性の判断は,裁判所が法令審査権に基づき行うものである。
○行政機関は、国権の最高機関であり,唯一の立法機関である国会により制定される法律を誠実に執行すべき義務がある。
○地方分権の趣旨も踏まえつつ,法律に基づき,適正に事務を執行していく。