2019年(平31)2月26日
平成31年度福岡市議会 第1回定例会 代表質問(福岡市民クラブ 栃木義博)

 

【目次】 
1.実感できない「成長果実を生活向上に」不都合な事実 
2.成長エンジン人口の減少社会に備える(取捨選択の徹底) 
3.ムダなものを造らない、立ち止まって考えるとき~ロープウェイ等新事業
4.稼ぎ頭(流通、卸売業)を育てる~派手さはないが堅実、着実が一番 
5.老朽化する上下水道、交通インフラをしっかりと守り抜く覚悟 
6.「ひと」への投資を大切にする~公務技術の継承、外国人材の受け皿 
7.市民生活に安心感を与える~人口減少時代に適応する政策課題を提案 
8.地方自治の本旨を堅持し、10年先を見据えどっしり腰を据えた市政運営を  
 
 

1.実感できない「成長果実を生活向上に」不都合な事実

 平成31年度予算案について、福岡市民クラブを代表して栃木義博が質問いたします。高島市政は三期目を迎え、市政運営も円熟味を増すベテランの領域に入られたと思います。スピード感を大切にされてきた政治スタイルを評価する声も少なくはなく、昨年11月の市長選挙で三選を果たされた理由に即断即決の政治スタイルと高島市長を重ね合わせる向きもあながち否定はできません。高島市長は、8年前に「発信力」「アジアナンバーワン都市」を掲げて初当選をされ、それ以降一貫して市政運営のスピード感を重視、市長のリーダーシップを見せる政治手法に専念されてきましたので、三選を果たされたことでその政治的成果を獲得されたと評価するものであります。高島市政の「見せる政治手法」は、市政の目標を実現するための手段であるとすると、その市政目標は二選目をめざす市長選を前にして示された「経済施策に力を入れ、その果実を福祉や教育に回す」とするものでした。これ以降、高島市政は、金融緩和、財政出動、規制撤廃を柱とする安倍政権の経済政策アベノミクスと歩調を合わすかのように、「成長の果実を生活の質向上に」「アジアのリーダー都市に」を政治スローガンに掲げた成長路線の旗を振り続けられてきたと理解しています。
 
 しかし、初当選以来8年間、市長から発せられる「華やかな成果」「際立った動き」を見続けてきましたが、肝心の市政目標である「成長果実を生活向上に回す好循環」というものが、実感できないのは私たちだけではないと思います。市長の掛け声とは裏腹に、「さっぱり実感がない」とする市井の声は少なくはありません。昨年は安倍政権発足以来、初めて株価が前年を下回るし、肝心の経済成長は目標に遠く及ばない、アベノミクスの終焉が近づきつつあるようですが、それでもこれまでは多額の金融資産を持たれる市民はその恩恵にあずかり、「成長果実と生活向上の好循環」を実感できたのかもしれません。しかし、そのような市民はそう多くはないでしょうし、自治体の行政サービスにどれほどの切実感を持って生活されているのかは定かではありません。そこで、そもそも基礎自治体の財政レベルでどれほどの「成長の果実」を「生活の質向上」に回すことができるのか、わたしはずっと疑問でありましたので、原点に立ち返って、事実を確認したいと考えます。
 
 市長はワンフレーズを多用されますが、「成長の果実」「生活の質向上」とは何かについて、その定義を語られたことはこれまでなかったと記憶しています。そういうこともあってか想像はしますが、その意味を理解できておりませんので、この際、「成長の果実」「生活の質向上」の定義をお聞かせください。「成長の果実を生活の質向上に回す好循環」の意味について、また何をもってその成否の評価を下すのか、あわせてお伺いいたします。
 
 そこで「成長の果実」を経済成長と、「生活の質向上」を富の分配とみなすと可視化、定量化して理解をすすめることも可能です。「経済成長と富の分配」について信頼のおける分析手法のひとつが国民経済計算です。日本国全体では国内総生産(GDP)、国民所得であり、福岡市域内では市民経済計算の市内総生産、市民所得として、「成長と分配」を可視化できます。福岡市も平成26年度の本市経済について「2年連続のプラス成長」「国・県を上回る」などと市内外に向けてアピールされているように本市経済指標として用いています。そこで福岡市がどの程度、経済成長(分配原資としての生産)し、その果実が市民に振り分けられているのか(生活向上のための分配)を確認します。
 
 直近の平成27年度統計資料にもとづき平成18年度から平成27年度までの10年間を見ると、平成27年度の市内総生産(名目)は7兆6,561億円で、10年間で7.6パーセント成長し、大阪市、名古屋市、横浜市に次いで政令市中4位をここ10年間維持しています。人口は政令市中5位の1,538千人で、8.8パーセントの増加でした。市民1人当たりの市内総生産(名目)を見ると、4,976千円で、大阪市、名古屋市に次ぐ3位が10年間続きますが、1.1パーセントのマイナス成長です。人口増は続き、政令市中5位なのに、市内総生産では4位、一人当たり市内総生産に至っては3位と、福岡市成長の勢いを裏付ける理由に挙げられます。
 
 確かにそういう面も言えなくはありませんが、よくよく見ると10年間ずっと政令市中の本市の順位は変わらないのです。平成23年度から予算編成に着手した高島市長の市政運営、経済政策で市内総生産の順位を上げた事実はありません。実数を見ると、任期中に総生産額を落とした年度もあるのです。さらに問題なのは、市民一人当たりの市内総生産では、10年間でマイナス成長であるという事実です。本市人口増の主因は生産年齢人口の減少を相殺してもなお上回る非生産年齢人口とりわけ高齢者人口の伸びにあるのですから、市内総生産への寄与が小さくなることの当然の帰結だと考えます。すると、市民一人ひとりに成長の果実や豊かさが行き渡る原資を産み出しているのかを問うと、疑問なしとは言えません。人口増を市民一人ひとりの豊かさや経済成長に結びつけることができていないのではないかと思いますが、市長のご認識をお聞かせください。
 
 つぎに「成長の果実」の市民への分配について見てみたいと思います。平成27年度で経済成長の分配に当たる市民所得5兆1,803億円は、10年間で10.7パーセントの伸び、年率は1.14%増の横浜市、大阪市、名古屋市に次いで政令市中4位に位置します。また、市民一人当たりの市民所得は3,367千円で、10年間で1.8パーセントの伸びですが、年率に直すと0.20%の微増で、大阪市、名古屋市に次ぐ政令市中3位となり、分配面も順当に見えます。しかし、企業所得、財産所得とともに市民所得を構成し、その約6割を占める市民雇用者報酬について見ると、平成27年度は3兆114億円で、10年間の伸び率は4.9パーセント増、年率は0.53%の微増ですが、政令市中7位です。また、一人当たり市民雇用者報酬は4,866千円で、6位に順位を落とします。平成27年度の市民雇用者報酬は、前年度比2.9パーセント減少しており、これにとって代わって企業所得と財産所得が大幅に増加しました。市内総生産(支出)の約半分を占め最も寄与するであろう家計消費支出の原資に当たる市民雇用者報酬はここ数年、政令市中7位と低迷しているのです。これを「成長著しい福岡」などと形容するにはいささか決まりの悪さを感じますが、本市の経済指標について市長の評価をお尋ねいたします。
 
 ここで、福岡市経済力の輪郭が見えてきましたのでまとめてみます。人口は伸び続け政令市中5位だが、市内総生産は4位、一人当たり市内総生産は3位と、福岡市の成長の勢いを印象付けるものの、豊かさを客観的に可視化するために市民への分配を見ると、市民所得は4位、一人当たりの市民所得は3位と順当に見える陰で、多数の福岡市民に係わる、肝心の市民雇用者報酬が7位、一人当たりの市民雇用者報酬は6位に落ち込んでいることを見過ごすことはできません。さらに、市民一人当たりの市内総生産は、10年間でマイナスとなり、人口増を本市の経済成長に活かしきれていない事実が明らかとなりました。ここから、相対的に低い賃金で雇用吸収し、人口増を支え続ける構造が福岡市に見えてきます。「豊かさを実感できない」という市井の声は全くもって当然です。「成長果実を生活向上に回す好循環」のスローガンが空しく聞こえてくるのです。仮に「成長の果実」を得たにしても市民には十分に「分配」「還元」されていないという事実、政策目標とする「成長の果実を生活向上に回す好循環」は達成もされず、存在もしていないという「不都合な事実」が見えてしまいますが、市長のご見解をお尋ねいたします。
 
 そもそも「成長果実を生活向上に回す」などとする自治体行政の身の丈を超えた経済政策は現実離れしているとしか言いようがありません。他都市と比べて本市は、市民一人当たりの公債費、扶助費などの義務的経費が多い反面、市民一人当たりの投資的経費が少ないという特徴があります。とくに借金返済の公債費負担が響いているものと思われます。限られた財源の中で経済成長に寄与する効果的な政策投資をおこなうことができるのか疑わしいところです。平成27年度一般会計(決算)のうちの僅か10.2パーセント、平成27年度市内総生産(名目)の1.0パーセント程度の790億円しか政策投資できない、あるいは寄与できない現実を離れて、華美なスローガンや訳語の必要な言葉ばかりが目に付く状況から、現実に即して地味だが着実かつ堅実な政治手法に転換されるべきではないでしょうか。福岡市の「成長エンジン」が「低い賃金と人口増」では周回遅れの途上国に見えてしまいますが、市長のご認識をお伺いいたします。仮に市長もこの構造をかえる必要を感じておられるならば、福岡市の経済構造をどのように認識されているのか、またどのように改められようとされているのかビジョンをお聞かせください。私の思い過ごしであれば良いのですが、市長は人口増加を本市成長の証として、人口増にむけて加速させるのであれば、これほど現実的でない考え方はありません。移民政策の舵を切らない限り近時、人口減少社会は必ず訪れるのですから、人口増を前提にした市政運営は、社会基盤の過剰整備に陥り、将来世代に重く厳しい負担を強いることになります。それはまた他都市自治体の人口減少と引き換えにして成長するという「福岡ファースト」で自分本位な自治体だと受け取られかねないと言えます。他都市から信頼される福岡市となることが、本市市民の誇りでもあるのです。市長のご認識とご所見をお伺いいたします。
 
 さて市長の言われる「成長の果実」は税収増を指しているのであれば、人口増をともなう他都市も同じ状況にあり、福岡市だけが何か突出しているわけではありません。ましてや「税収を生活向上に回す」というのに等しいスローガンは、自治体として当たり前のことを言っているのに過ぎないのです。ただ、本市の特徴として、市税収入の内訳で、個人市民税の構成比が他都市と比べて極端に低いことです。これは、所得水準の相対的な低さ、生産年齢人口の減少に起因していると思われますので、これを踏まえて適正で、効果的な税の再配分が求められるのは言うに及びません。そこで税の市民生活への配分について触れておきます。ここ数年来の本市一般会計の目的別歳出を見ると、待機児童解消などの施策展開で、こども育成費は前年比5パーセントを超える伸びを示すいっぽうで、保健福祉費は微増にとどまっています。人口は増加しているのですから、医療、介護、障害者福祉、社会福祉など社会保障について自治体のサービス水準が落ちていないのか、とりわけ高齢者の福祉サービスが手薄になっているのではないかと思いますが、ご所見をお尋ねいたします。いっそう目を引くのが毎年5パーセントを超え10パーセントにも迫る経済観光文化費の落ち込みです。政策立案にあたって経済成長に重きを置かれる市長の考え方とも思えない財政配分のカットは理解に苦しみます。本市経済の成長を支える流通業、卸売・小売業などの中小、零細事業者の育成支援に影響をきたしているのではないかと危惧しますが、ご認識をお伺いいたします。あわせて保健福祉費を微増に抑え、経済観光文化費を激減させているのは、はたして適正な配分といえるのかをお尋ねするとともに、どの分野に重点を置き、何を優先しないのかなど、市長の税配分に対する基本的な考え方をお聞かせください。
 ここで、昨年6月に公表された直近の平成27年度市内総生産の統計数値が国の指示で操作させられたおそれを指摘しておかなければなりません。平成27年度市内総生産(名目)の算出では、前年度と比べて異常に大きく膨らんでいる都市もあり、とりわけ本市の増加額は政令市中2位、増加率は政令市中1位でした。その理由は市民経済計算による市内総生産の算出方法が変更されたからだと聞かされましたが、変更した方法で再計算すると本市の場合、平成26年度の市内総生産(名目)は、7兆3,067億円となり、算出方法変更前の同年度を比較すると、5,727億円も増加しています。そのうち三分の二の約3,900億円が卸売業小売業の商品販売額による寄与分なのですが、すでに平成26年度市内総生産の算出に使用した平成26年度商業統計の数値を使わず、わざわざ平成19年度の数値を使って、今回の平成27年度市内総生産を導き出したとする説明には驚かされました。後ほど述べますが、本市卸売業小売業の商品販売額は、平成19年度から平成26年度までの7年間で、2兆5,771億円も減少しているのですから、実際の成長率とはかけ離れた過大な数値を創り出してしまったと言わなければなりません。実態は限りなくゼロ成長であることも否定できないのです。
 
 平成27年度市内総生産の算出方法が国の指示で操作されたおそれがあると述べましたが、前年度までは「商業統計の使用」のみを指示していましたので本市同様、各都市ともその年度直近の統計数値を使って算出していたものと思われます。しかし、平成26年度商業統計がすでに公表されているにもかかわらず、今回に限っては「平成19年度の商業統計を使用する」ようにと具体的に国から指示されたというのです。全国の卸売業小売業の商品販売額は平成19年度と比較して、平成26年度は約69兆円も減少しているのですから、国の隠れた意図を疑わざるを得ません。都道府県、政令市の市内総生産を実際値より大きく膨らませたカラクリが見えてきました。このような統計操作は国の指示であって、福岡市が独断で行うことはないと固く信じますが、公表された平成27年度市内総生産は本市経済成長の実際を把握するには適当でないとともに、本市経済統計そのものに対する信頼に傷をつけることになったと思いますが、市長のご見解をお聞かせください。また、国のアベノミクスによる経済成長の実績を統計数値を操作してまでも高く見せかけようとしていることを目の当たりにしましたが、実態とかけ離れた統計数値を恣意的に使われると、本市の政策決定、市政運営に過ちを犯すことになりかねないと危惧します。市長のご所見をお尋ねいたします。
 
 

2.成長エンジン人口の減少社会に備える(取捨選択の徹底)

 福岡市の成長が基本的には人口増に支えられていることを明らかにしましたが、この成長も人口が減少に転じるとともに落ち込むことは容易に想像できます。人口減少時代とも形容される現象は、わが国ではすでに始まっていますが、福岡市では2035年の160万人をピークに人口減少に転ずると、平成27年10月の「福岡市 人口ビジョン」では報告されています。人口減少社会では、とりわけ人口増で支えられてきた福岡市にあっては、生産労働人口の減少とともに少子社会が到来します。いっぽうでこれまで社会を支えてきた団塊世代が2025年には後期高齢者となるなど、70歳以上の高齢者人口が急速に拡大する社会を迎えるということでもあります。このように言うと、暗い社会の到来に聞こえますが、希望の持てる明るい社会を導き出す好機とも言われているのです。なぜならば、これまで福岡市をはじめ大都市には限られた空間に人口が集積し、限られた資源を分かち合う過密なまちづくりを進めざるを得ませんでしたが、人口減少にともない相対的に拡大する都市の空間や資源に余裕が生まれることでもあるからです。
 
 長寿社会の到来は喜ばしいことではありますが、人口減少時代を上手に市民が支え合う社会を築いていかなければならないとも言えます。そのためには、まず市民という人材を育て、十分にその能力を発揮し活用いただく住民の自治力の向上にかかっていると言っても過言ではありません。地域のコミュニティ形成に始まり、教育、子育て、福祉、防災、生活相談など地域社会には行政施策をトータルに実現すべき課題がまさに現場にあるとさえ言えるのです。私たちがかねがね本会議、常任委員会など議会の諸会議で提案主張し、また予算要望してきた公民館コンシェルジュや市職員の配置によるきめ細かな行政サービス提供の必要性、地域住民と行政による共働作業による新しい地域づくりのために公民館の役割の再構築を強調するのはこのような理由からです。
 
 人口減少社会を目前にして、三期目の任期を迎えられた高島市長におかれましては、一期目、二期目の人口増加を前提にした成長路線から、人口減少社会に適応する新路線にシフト転換されるお考えはないのか、ご所見をお伺いいたします。将来世代に過度な負担を強いらせないことが今を生きる世代の責任であり、その道筋をつけるのが今の市長のきわめて重要な役割だと思いますが、ご認識をお尋ねいたします。
 
 

3.ムダなものを造らない、立ち止まって考えるとき~ロープウェイなど新事業

 人口減少時代では、新たな借金を重ねることは不可能だと述べてきました。欲求のままにする「あれもこれも」から「あれかこれか」の取捨選択を厳しく吟味しなければなりません。遅れて政令市に昇格し、急速に拡大してきた福岡市は他都市と比較して多額の市債残高という借金が残っている現状にあります。無数にあった狭隘な道路を拡幅するとともに、天神、博多駅に繋ぐ地下鉄網、都心と郊外を結ぶ都市高速道路、環状道路など交通基盤、都市基盤の整備はいよいよ終盤に差し掛かった感がありますが、いまだにその途上のものもあります。これらの社会設備の整備に要した費用はそのほとんどが市債という借金で、これを日々の利用料金などでコツコツと返済していくには20年、30年の長い歳月を要するのです。仮に今この瞬間に、新たな交通施設、交通インフラを計画着手するとしても建設整備し供用され運行するまでに10年、採算がとれるようになるまでには更に長期の年月をともないます。また一般会計による公共投資であっても償却のための更新資本の調達が後年重くのしかかってきます。そのように認識すると2035年に迎える福岡市の人口減少時代は目前だと言えます。
 ロープウェイ構想は第三者研究会の下で検討が加えられはじめた矢先に、市長が選挙公約に持ち出された段階で客観性を欠いてしまった感が拭えませんが、そもそもこのロープウェイが交通政策として必要なのか、あるいは観光施設の必要性に迫られての検討なのかがさっぱりわかりません。その必要性も採算性も極めて希薄な事業について安易な着手は厳に慎まなければなりません。市長のレガシーづくりとしか思えないようなロープウェイ導入の撤回、あまりにもムダな事業計画の中止を求めますが、市長のご所見をお伺いいたします。
 
 つぎに、ロープウェイの導入検討と時を同じくしてもたらされた箱崎ふ頭の埋め立て、須崎ふ頭倉庫群の箱崎ふ頭への移転による再開発などを展望した港湾整備計画も唐突感を拭えません。今回の港湾再編方針については港湾施設全体の中での位置付け、ならびにその必要性、事業規模と採算性、計画期間など本市産業政策の総合的な視点からの説明と議論が決定的に不足しており、拙速であると言わざるを得ません。次世代に将来負担を強いることにもなりかねない多額の事業費を要することも容易に想像できますので、慎重かつ丁寧な議論が求められますが、市長のお考えをお聞かせください。
 
 

4.稼ぎ頭(流通、卸売業)を育てる~派手さはないが堅実、着実が一番

 福岡市の平成27年度市内総生産で最も寄与した業種をあげると、第一位は卸売小売業の1兆7,829億円、第二位に業務支援サービス等の9,566億円、第三位が不動産業の8,451億円、第四位は情報通信業5,794億円、第五位が運輸郵便業の5,121億円と続きます。上位5業種で市内総生産の約61パーセントにもおよぶ本市経済のリーディング産業ということができます。つぎにこれら業種の雇用吸収力を見てみると、直近の平成28年の従業者数では、第一位が卸売業小売業の202,468人であることに加え、第二位が運輸業郵便業で49,778人、第三位が情報通信業の44,690人、第四位は専門・技術サービス業等で38,915人、第五位に不動産業物品賃貸業で33,120人となっており、これらの5業種で市内全従業者数866,930人のうちの約43パーセントを占めるのです。このほか、雇用吸収力に着目して、医療・福祉99,880人、サービス業(他に分類されないもの)105,087人を加えると、全従業者数の約66パーセントとなります。本市産業の特徴は、卸売小売業が稼ぎ頭で雇用吸収の圧倒的な力にあります。平成26年の商業統計結果によると、小売業の年間小売販売額が1兆7,504億円で、人口規模に準じて政令市中第5位にあるのに対して、とりわけ卸売業については年間商品販売額が9兆5,851億円で、大阪市、名古屋市に次ぐ政令市中第3位にあり、長期一貫して本市経済をけん引してきたことが分かります。
 
 しかし、その卸売業、小売業の停滞がこのところ目立つのです。平成19年の商業統計結果を基準にすると、平成26年までの7年間で、小売業が8パーセント減の1,568億円、卸売業は20パーセント減の2兆4,203億円も商品販売額を減少させていることに注視しなければなりません。由々しき事態とも言える卸売業、小売業の停滞とその原因を市長はどのように認識されておられるのかお伺いするとともに、この間どのような手立てを講じられてきたのかお尋ねいたします。また、稼ぎ頭であるとともに雇用吸収力のある卸売業、小売業の勢いを回復させることが喫緊の課題だと思いますが、本市に何が求められているのか、本市には何ができるのか、市長のお考えをお聞かせください。
 
つぎに、卸売業小売業に次ぐ雇用吸収力をもち将来有望とされる医療・福祉の成長分野について、人材育成を含めた政策課題に力を注ぐべきだと考えますが、あわせて市長のご所見をお伺いいたします。

 
市長は都市競争力の確保に主眼を置かれ、フクオカ・グロース・ネクストなどにより、IT企業などのスタートアップ支援に力を注がれているようにお見かけします。雇用吸収力はないが、投資額が少なくてすむという理由から各都市とも力を入れているようです。都市集積による接触効果に期待の寄せられる分野だとも聞きますが、すると東京、大阪、名古屋ではなく、なぜ福岡で成功できるのか、その理由をお聞かせください。また、これが福岡市経済産業の中にどのように位置づけられ、どれだけの稼ぎと市民への分配をもたらすのか、またどのように将来展望されているのか、ご見解をお伺いいたします。
 
 福岡市の支店経済からの脱却が言われて久しいですが、そのような動機から起業を促進して小粒ながらも本社を市内に置く企業を育てようとされているのだと思います。県外に本社のある支店数は、本市の全事業所のうち五分の一で、大阪市、名古屋市でも六分の一を占めているのです。東京一極集中が加速していることが見て取れます。ただ、支店経済は本市で産み出された所得が市外に流出し、雇用者、企業などへの分配原資を少なくするという欠点がありますが、本市は第三次産業中心の典型的な消費都市の産業構造であり、経済社会の変動に柔軟な対応が可能であることから、欠点を上回る大きな利点があるといえます。経済変動の幾度かの大波を乗り越えてきた福岡市の今日の姿がこれを証明していると思います。
 
 わたしは決して派手ではなくむしろ地味とも思える着実堅実で持続的な施策の展開によって、支店経済をいっそう不動のものにしていくことが、本市財政の身の丈に合った最も現実的で合理的な選択ではないかと考えますので、本市産業の本丸である流通、卸売業の展望を切り開くとともに、福岡経済の持続可能な発展に向けた市長のご所見をお尋ねいたします。
 
 

5.老朽化する上下水道、交通インフラをしっかりと守り抜く覚悟

 つぎに、人口減少社会ではまちづくりを徐々にダウンサイジングしていかなければならないと言えます。人口減少社会は税収、交付税収入の減少をともなうことから、道路、水道、下水道、地下鉄など時間をかけて蓄積してきた社会資本、産業資本の老朽化による更新が待ったなしに訪れることを意味します。とりわけ福岡市は、1972年に政令市に昇格して以来、人口の急激な集中と相まって、社会インフラ整備を急速に進め、全国有数の大都市を形作ることができました。例えば、老朽化し漏水の可能性の高い水道管を切り替えていくという当たり前の事業が、人口減少時代では困難が付きまとうということです。その社会資本を更新していくために、新たな借金を重ねていくことが土台無理な時代ですから、人口減少社会の到来を目前に控えて、社会基盤の整備・維持管理に従事する市職員の培ってきた技術力をさらに研鑽、継承するとともに、今の段階から更新資本の縮小を含めた中長期ビジョンを立て備えていくことが肝要であると考えますが、市長のご認識をお聞かせください。あわせて10年、20年先を見据えて市民生活の質を落とさないように社会基盤を守り抜くという覚悟が求められていると思いますが、市長のお考えをお聞きかせください。
 
 

6.「ひと」への投資を大切にする~公務技術の継承、外国人材の受け皿

 政府は水道法を改正し、公営水道事業を民営化すること(水道事業経営権を民間に売却するコンセッション方式の導入)で、全国自治体の水道事業による多額の借金、赤字経営を解消するとともに水道料金の値下げにつなげるとしています。また、今後発生する老朽水道管を更新するための巨額の費用を自治体が賄えないであろうから、民間事業者のコスト削減や先進技術の力を借りるとも言っています。
 
 しかし、水道事業の赤字をだす自治体の多くは、過疎地を抱える人口規模の小さい市町村であるはずなのに、利潤追求が使命の民間企業が進出する理由がありません。するとその「旨味」は、災害時の水道施設の復元は自治体にお任せですから労務費の縮減で、長期にわたる安定的な企業利益の最大化にあるとしか考えられません。他に理由があるとすると自治体への交付金を削減したい政府の思惑だけです。これでは料金値上げと水質悪化で公営に戻した欧米諸都市の失敗と同じ轍を踏むことになってしまいます。法改正の趣旨が、黒字経営の福岡市など大都市水道事業を外資など民間企業に参入させる門戸を開くことにあるのは容易に読み取ることができます。そうなると公営水道事業の管理運営で培ってきた本市職員の高い技能と事業を評価する能力が失われ、将来それを取り戻すことができなくなることは明らかです。最も重要なライフラインである水道にコンセッション方式を導入すれば、行政から技術が失われるなど、市民と自治体の手でコントロールの利かなくなり、安全な水を安定的に供給できなくなる懸念があると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
 
 さて、福岡市成長の原動力が、比較的に低い賃金と人口の増加傾向に支えられていることは述べてきたところですが、その後の人口減少社会の到来に備える選択肢はそう多くはないと思われます。本市の場合は、賃金水準は高くはないけど雇用吸収力のある産業をじっくり守り育てていくとともに、雇用吸収力は少ないが付加価値の高い商品、サービスを提供する産業をこつこつと育てることであり、その担い手のひとつが女性の就労促進です。わたしは女性の就労を促進するために社会経済の環境整備を急ぐべきであり本筋の議論だと考えますが、もうひとつの議論は人口減少に歯止めをかけるために外国人材を確保するのかということです。政府は人手不足を理由に入国管理法を改正して、今後5年間で30数万人の外国人労働者の入国を認め、在留期間の延長と永住化に道を開く、事実上の移民政策への転換だとみられます。しかも最低賃金以下、長時間労働の過酷な労働環境で失踪者が絶えない技能実習制度を土台に残したままの新たな外国人在留制度への改変には疑問を禁じえません。
 
 福岡市の「低い賃金と人口増」構造を維持するために、外国人労働者を安価な労働力として使うとなれば、少なからず市民の労働環境に悪影響を与えることにもなりますが、それ以上に地域社会で暮らすことになる外国人労働者とその家族の医療、年金、子育て、学校、コミュニティとアイデンティティなど福祉・社会保障、教育、多文化共生などについて、本市が担わなければならない事務が多岐にわたることになりますので、「人手不足解消」などという単純な話ではありません。入管法改正にともなう外国人労働者の受け入れは、多文化共生社会に足を踏み入れる準備を自治体と市民に求められると考えますが、市長のご所見をお聞かせください。
 
 

7.市民生活に安心感を与える~人口減少時代に適応する政策課題を提案

 福岡市の人口減少時代を見据え、政策課題の優先順位を明確にしていかなければなりません。「あれもこれも」から「あれかこれか」の選択です。その選択基準は、「市民の暮らしに安心感を与える」施策展開を優先させること、将来負担を加速しかねない事業にあっては、議会での審議に十分な時間をかけ、しっかりとした資料に基づく審議を徹底しなければなりません。このような観点から、平成29年度決算議会審議のなかで私たちが要望した課題の中から、優先して実現すべき課題について質問します。また市長に要望した2019年度予算のうち、とくに重点的に実現すべき政策課題について提案し質問いたします。
 
 まず財政の立て直しと就労支援についてです。
 
 納税義務者の増加による個人市民税の増収について、2012年度と2017年度の就業構造基本調査を比べれば、本市の正規雇用者数は、37万6,500人から42万6,500人に増加し、正規雇用者の割合は51.9%と前回調査に比べ、2.7ポイント上昇しています。しかし、依然として全国平均より低い状況が続いています。また、給与所得者の納税義務者数は増加しているものの、生活保護受給者はリーマンショック時の2008年度から見ると15,000人増加しています。各区役所に設置されている「就労支援コーナー」での寄り添い型の支援をはじめ具体的な就労支援策の拡充が不可欠ですが、ご所見をお尋ねいたします。
 
 市債残高は減少傾向にはありますが、企業会計などと合わせると、2兆1,500億円余りという多額の市債残高となっています。高齢社会や経済格差による保健福祉費、社会保障費などの伸びで、本市の財政状況は依然として深刻です。公債費の割合が高いと財政硬直化を招き、他の行政サービスへ振り向ける財源が乏しくなることから、真に市民生活の向上につながる事業を厳選して、市債の発行を行う必要があると考えますが、考え方をお聞かせください。
 
 公文書管理の徹底と情報公開の促進についてです。
 
 森友加計問題は、公文書に関わる国民の信頼を著しく失墜させました。公文書の取り扱いや管理、保存、廃棄は内部規則を根拠に行政組織が自らの判断で決定するため、議会や市民の目が届きにくい状況にあります。情報公開の徹底を促進する観点から、「福岡市公文書の管理に関する規則」を見直すとともに、公文書の管理や廃棄などの法的根拠を明確にするため、「公文書管理規則」を条例にあらためるべきと考えますが、ご所見をお尋ねいたします。
 
 災害避難所でのプライバシー確保についてです。
 
 福岡市地域防災計画の見直しにより、避難所におけるプライバシー確保のための段ボール間仕切りなど資器材が備蓄されています。また、東日本大震災の教訓などを踏まえ、女性・子どもに対する性犯罪防止策や相談体制強化の検討が必要とされています。避難所開設運営について、人権擁護を徹底させる観点から対策を講ずるべきです。本市防災会議のメンバーに女性や障がいをもつ人のほか、人権問題に詳しい法曹関係者を加えるなど多様な意見、専門的な知見が反映されるようにすべきと考えますが、取り組み方針をお聞かせください。
 
 また、本市には約3万5千人の外国人が居住し、昨年度は300万人超の外国の方々が福岡市を訪れています。外国人の居住が多い地域や外国人来訪者が多い駅や観光施設などを中心に外国語(4か国語)での避難場所標識の整備を急ぐ必要があると思いますが、お考えを伺います。
 
 人権問題についてです。
 
 2016年12月に「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。本市は2017年12月に「人権問題に関する市民意識調査」を実施し、分析結果では未だに結婚差別や社会における偏見意識のあることが明らかになりました。また、新たに加わった働く人の人権、インターネットによる人権侵害などの選択肢に対して高い回答割合が示されています。部落差別の解消をはじめ市民意識調査で明らかになった課題の解消に向け具体的な施策の推進が必要ですが、ご見解をお聞かせください。
 
 4月からパートナーシップ宣誓制度が開始され、昨年決算総会質疑に於いて、市長は「同制度を利用した市職員の結婚休暇や介護関連休暇などについて具体的な検討を行う」と答弁されています。これらの休暇の導入について、今後速やかに検討いただくよう要望します。また男女別の制服着用を必要とする職場においては、全般的に過不足ないように前向きに取り組むべきと思いますが、あわせてお考えをお尋ねいたします。
 
 保育事業についてです。
 
 待機児童や未入所児童の解消は急務です。保育士不足が大きな要因であり、解消のためにも保育士の処遇改善を行うべきであり、自分で家を賃貸する場合に限り月1万円を上限とする正規保育士の家賃助成を非正規の保育士へ拡充されるべきと考えますが、市長の決意をお伺いいたします。
 
 高齢者の移動支援と高齢者乗車券についてです。
 
 本市の高齢化予測を見れば、2030年には4人に1人が65歳以上という状況を迎え、介護予防・認知症予防にもたらす効果から、健康寿命の延伸のために「外出」は重要なキーワードです。重要な外出促進施策である「高齢者乗車券」は多くの高齢者に活用され、社会参加の促進に寄与しています。存続はもとより、ICカードやタクシーチケットの併用、並びに利用の拡充と助成額の増額を検討すべきです。あわせて生活交通条例を踏まえた的確な需要調査と分析、必要な財政確保など高齢者の移動支援のあり方について早急に検討すべきと考えますが、市長のご見解をお伺いいたします。
 
 単身高齢者に対する住宅支援の拡充についてです。
 
 今後の社会保障政策の方向性として、単身高齢者の住宅支援は重要な政策課題です。単身高齢者向けの家賃助成や住み替え費用の助成拡充をはじめ、高齢者が安心して住まえる環境づくりの取り組みが急がれますが、ご所見をお尋ねいたします。
 
 認知症サポート体制の強化についてです。
 
 地域包括支援センターの増設や相談員の増員を通じて、認知症相談体制の拡充を図るとともに、地域におけるユマニチュードの普及や認知症サポーター養成の推進など、認知症に対する理解を深め、充実する取り組みが必要と考えますが、ご見解をお聞かせください。
 
 障がい者グループホームの設置促進についてです。
 
 重度障がい者の親なき後の重要な事業として、グループホームへの受入れ拡充が必要ですが、自己負担増や夜間支援などの課題があり、なかなか進展していません。消防用設備や開設当初の備品購入費の補助など本市独自の補助制度に加え、夜間の人的な支援体制の整備を促進すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
 
 障がい者法定雇用の促進についてです。
 
 国の中央省庁で発覚した障がい者雇用率の水増し問題は、障がいを持つ人たちの働く権利を保障し、生きがいを持って働ける社会をめざす理念を崩壊させかねない事案でした。本市の経営支配下にある外郭団体や出資団体の障がい者雇用率の向上に一層取り組むとともに、民間企業などの法定雇用率の達成に向けての啓発活動を強め、障がい者雇用の拡大、底上げを進めるよう強く求めるとともに、市長のお考えをお聞かせください。
 
 子どもの医療費助成制度についてです。
 
 子育て世帯の負担軽減策として、2016年10月より小学6年生まで通院医療費の助成対象が拡大され、子育て世代への大きな支援となっています。しかし、それまでは自己負担なしであった3歳から6歳未満の幼児をもつ世帯には負担を強いるものになっています。小学6年生までの通院医療費の自己負担を廃止し、助成対象学年を中学3年生までに拡大すべきです。ご所見をお聞きいたします。
 
 教育に係る保護者の負担軽減についてです。
 
 経済格差の拡大による社会の歪みは子どもたちのとりわけ教育に顕在化します。給食費の無償化や教材費の負担軽減など、義務教育における保護者の経済的負担の軽減が喫緊の課題だと考えますが、ご認識をお伺いいたします。また、市立高校の授業料の減額や教材費等の費用負担の軽減、奨学金の支給開始時期の前倒しなど、高校進学の際に発生する経済負担の軽減に取り組むべきだと思いますが、ご所見をお尋ねいたします。
 
 小中学校における教育環境の整備についてです。
 
 いじめ、不登校、虐待など、児童生徒を取り巻く様々な課題は複雑化・多様化しています。このような諸課題にきめ細やかに対応し、子供たちの豊かな学びを保障するため、小学4年生までの少人数学級を、中学3年生まで段階的に実施すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 
 「災害級の暑さ」と言われるくらい、昨年の夏は記録的な猛暑に見舞われました。愛知県では、小学1年生が熱中症で亡くなるという痛ましい事故が起きました。本市では、小・中学校の普通教室への空調設備が、2016年に整いましたが、理科や家庭科などの学習が行われる特別教室については未整備です。早急な整備とともに、食の安全と職員の健康管理の面からも小学校給食室へのエアコン整備について、お考えをお尋ねいたします。
 
 本年度から教育と福祉の両面から、課題をもつ子どもたちの支援を行うことを目的として、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーが全中学校区のブロックに配置されました。子どもたちが抱える課題は家庭問題が複雑に絡みあっており、教員だけでは対応が難しいケースが増え、臨床心理士の資格をもつスクールカウンセラーとの連携が求められる事例も多くなっています。連携強化のためにもスクールカウンセラーの配置日数拡大が不可欠だと思いますが、お考えをお聞かせください。
 
 市営住宅への生活保護受給者の入居についてです。
 
 リーマンショック以降、生活保護受給者は増えています。また、今後単身高齢者も増加すると予想されます。市営住宅への入居希望者が多くいる中で、一人でも多く入居できるよう、面積の広い住戸を単身者向け住戸へ分割するなど、有効活用を検討すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
 
 福岡市文化芸術振興ビジョンの見直しについてです。
 
 毎年、11月の「文化の日」を中心に各地域・校区で文化祭行事が開催され、多くの市民が文化行事を催したり作品を展示したりしています。同ビジョンの見直しに当たっては、公民館や集会所で行われている様々な文化事業、美術作品展など、とくに高齢社会においては市民生活に密着した文化振興策、制度設計が非常に重要であるため、市民がどのように文化をたしなんでいるかという視点に重点を置いて組み立て、今後の文化振興にとりくまれることが肝要ですが、ご所見をお伺いいたします。
 
 福岡空港周辺の騒音対策についてです。
 
 本市は空港の利便性の恩恵を受けており、空港周辺住民への騒音対策は必須です。滑走路を増設した後ではなく、現状の防音対策で不十分なところを事前に改善しておくべきであり、少なくとも空路の真下にある小中学校の防音対策については滑走路の増設という大きな変化がある今だからこそ、事前に改善することを国へ相談するよい機会です。空港運営会社とのパートナーシップ協定の締結をもとに、事前の改善策を講ずるべきと考えますが、ご見解をお尋ねいたします。
 
 博多港の経済波及効果についてです。
 
本市は、博多港の経済波及効果について、市内総生産の約3割が博多港を通じた形で波及効果として生まれ、雇用効果、税収効果についても市内全体の約3割が博多港を通じた活動によって生じているとしていますが、市民にはその好景気が実感として伝わっていません。博多港の振興が、市民生活や経済活動にいかに還元されているのか、より分かりやすく市民、議会に伝えるよう要請しますが、お考えをお聞かせください。
 
 公共建築物の木質化推進についてです。
 
 県内の他市町村では市営住宅や学校施設を木造で建設するなど、行政として木造・木質化に取り組んでいる自治体があります。本市は2013年度に公共建築物などにおける木材の利用の促進に関する方針を策定していますが、木造による公共建築物の建設の実績はありません。森林環境譲与税なども活用しながら、全庁的に木造・木質化を推進する必要性について、お尋ねいたします。
 
 温室効果ガス排出量の削減についてです。
 
 本市は、福岡市地球温暖化対策実行計画を策定し、2030年度までに温室効果ガス排出量を基準年度の2013年度に比べて28%削減することを目標としています。これは国の削減目標26%を上回る意欲的な目標数値です。目標達成に向けては、市民モニター制度の実効性を高める取り組みや事業所省エネ計画書制度の周知と参加促進を図るとともに、環境局が中心となり、全庁が連携してとりくむべきと考えますが、ご見解をお尋ねいたします。
 
 公民館への行政コンシェルジュの配置についてです。
 
 地域住民が求める多様な行政ニーズを一次的に捌き、相談窓口の提示をするといった「行政コンシェルジュ」を公民館に配置し、公民館の行政拠点機能を強化すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
 
 地域防災力の強化についてです。
 
 「1町内会1防災士」をめざして防災士の育成に取り組むとともに、それぞれの地域で想定される浸水、河川氾濫、地震などの防災課題に対応した防災訓練の実施を計画的に取り組むよう求めます。また、災害時要支援者名簿を活用した避難支援体制を各校区で構築するとともに、避難所運営については地域の実情を知る自治協議会との連携を前提に運営体制の強化構築に取り組むべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
 
 最後に、市民生活の安心安全についてです。
 
 平成30年度「市政に関する意識調査」結果速報版によると、「住みやすい」「ずっと住み続けたい」と回答した方が、それぞれ97パーセントと93パーセントにのぼり過去最高値だとしています。そのいっぽうで「就業機会の多さ」「福祉の充実」を4人に1人が、「犯罪の少なさ」には2人に1人の方が不満を感じているとの報告がなされました。とりわけ目を引くのは決して少なくはない「犯罪」に対する市民の不満です。都市の魅力向上にあっては、雇用、福祉、安心安全に対する行政サービスの充実は必須ですから、これが「落とし穴」とならない保証はありません。この調査結果に対する市長のご認識と取り組みにあたってのお考えをお聞かせください。
 

8.地方自治の本旨を堅持し、10年先を見据えどっしり腰を据えた市政運営を

 以上、私たちは本市経済社会の本当の実力を冷静に見つめ直し、本市財政力の身の丈に合った最も合理的な投資と施策展開を図るために、少し諄いように思えましたが、福岡市の成長力の源泉と現実について、私たちの分析を申し述べました。あわせて、まもなく到来する人口減少社会を迎える備えを着実堅実に進めるために、市長のお考えを質しながら、本市の市政運営の方向について修正を求め提案してきたところです。もとよりそれは市民の暮らしに安心感を与え、市民が「豊かさの実感できる福岡市」になればこそとの思いからであります。
 
やや角張った私の最後の質問となりましたが、市長の心耳に届くものがあるとすれば、わたしの本望とするところです。20年前に江藤博美議員、先に引退した三原修元議員とともに三人でスタートさせた会派第一世代の私たちは次世代に思いを託してみな引退します。議長をはじめ同僚議員の皆さん、そして市長と執行部、市職員の皆さんのご厚情に感謝を申し上げるとともに、何よりも市民の福祉向上のために、地方自治の本旨を堅持し、市議会と市長が切磋琢磨されながら、10年先、20年先を見据えどっしりと腰を据えた市政運営の展望されることを切に願って代表質問を終わります。ありがとうございました。(了)
 

 

回答は本年6月に公報されます。

 

過去の質疑応答

■平成30年度福岡市議会 決算特別委総会質疑応答全文
■平成29年度福岡市議会 条例予算特別委員会総会質疑応答全文
■2016年10月7日 決算特別委員会総会質疑
■2016年3月7日 平成28年度福岡市予算議会 補足質疑応答全文
■2015年9月11日 一般質問 質疑応答全文
■2014年9月9日 福岡市雇用特区 質疑応答全文